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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

もみ合いの後、円安基調が続く可能性大!
米ドル/円はいずれ82円を上抜けて85円へ

2012年03月08日(木)16:08公開 (2012年03月08日(木)16:08更新)
西原宏一

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 みなさん、こんにちは。

■上昇が続いていた豪ドル/円に、やっと調整が入った

 2月から続いていた「株高」と「円安」のトレンドですが、大きな戻しもなく
一方的に上昇してきたことから、マーケットでは、逆に不安感が高まっていました

 とりわけ、株との連動性の高い豪ドル/円は、2月初旬の80円台からほぼ一方的に上昇しており、3月2日(金)には88.02円まで上昇しました。この間、2円以上の戻しはほとんど見られませんでした。

豪ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 日足

 その一方で、ユーロ/円は、2月末の「LTRO(3年物流動性供給オペ)」前後につけた109.97円を高値に、その後はじり安となっています。

 これと比較すると、ヘッジファンドの友人も、豪ドル/円の堅調さには、ちょっと驚きを隠せないようです。

 新興国通貨をはじめとして、ボラティリティ(変動幅)が高い通貨ペアは値動きが激しいのですが、主要通貨はボラティリティが低下気味です。トレンドが明確になっても、丁寧に押し目買いや戻り売りを繰り返さないと、なかなか収益を大きく伸ばせません

 前述のように、豪ドル/円は、2月初旬の80円から下旬の88円まで8円も急騰していますが、大きな押し目もなく上昇が続いたため、過熱感がちょっと高まっていました。

 それが今週に入って、一時は84.81円まで下落し、やっと調整が入ったようです。

 豪ドル/円の下落につれて、米ドル/円も一時は80円台半ばまで下落しましたが、現執筆時点では81円台を回復しています。

■全人代と豪州の政策金利発表が調整の材料になった

 それでは、豪ドル/円や米ドル/円の今回の下落が、どのような要因に誘発されたのかを確認してみましょう。

 今週は、まず、3月5日(月)に中国の全人代(全国人民代表大会)が開幕しました。

 開幕に当たり、中国政府は、2012年の経済成長目標をこれまでの8.0%から7.5%に引き下げると発表したのです。

NZドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:NZドル/円 日足

 これは、過去10年間の平均成長率の10.7%を大幅に下回る水準であり、発表後は、アジア通貨全般に加えて、リスクアセット通貨である豪ドル/円やNZドル/円も軟調に推移しています。

 続いて、3月6日(火)には、RBA(豪州中央銀行)が政策金利を発表しました。結果は市場予想どおりの据え置きで、声明の内容も驚きはありませんでしたが、マーケットは「sell the fact(事実で売り)」で反応し、欧米市場でも、株、コモディティ、リスクアセット通貨が大幅下落となりました。

 米ドル/円も、一時は80円台ミドルまで下落しました。

グローバルな資金は調整局面を経て、リスクアセットへ

 ただ、3月8日(木)のECB(欧州中央銀行)ならびにBOE(イングランド銀行)の政策金利発表、3月9日(金)のNFP(米国雇用統計)を前に、調整局面は一服しています。

 現執筆時点では、米ドル/円は81円台、豪ドル/円は86円台を回復しています。 

 加えて、マーケットの注目は、日本時間で3月9日(金)早朝5時に迫ったギリシャの「PSI(債務減免交渉)」のデッドライン(期限)に集まっており、結果待ちといった様相です。

 この「PSI」に関しては、予断を許さない展開ではあるものの、その危険性については事前にかなり報道されていたため、マーケットではある程度のヘッジが行われていると想定されます。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 ただ、ユーロ/米ドルは、「LTRO」前後の1.34ドル台後半を高値に反落が続いていたため、当面は、1.3000~1.3500ドルのレンジで方向性のないもみ合いとなる可能性が濃厚でしょう。

 結果的に、ユーロと円は引き続き軟調に推移する可能性が高いと見込まれます。

 その半面、グローバルな資金は調整局面を経て、豪ドルやNZドルなどのリスクアセットに戻る可能性が高いのではないでしょうか?

流れは変わらずで、円安の展開が続く

 そもそも、2012年は主要国で多くの選挙が予定されているため、株を中心に、リスクアセットが暴落するのは考えづらいです。

 一方、そのような相場展開となる可能性が高いため、5月は例年のように、「sell in May」の相場格言どおりに危険性が高まるのかもしれません。

前回のコラムでも申し上げましたが、3月中旬まではリパトリ(本国への資金送還)の円買い需要により、米ドル/円や豪ドル/円は値を下げる局面があると予測されます「ドル/円はターゲットを85円に上方修正!円キャリーで豪ドル/円は90円へジリ高」を参照)

 友人のヘッジファンドは、そうした局面では「押し目買い」という相場観を持っているようです。

流れは変わらず、円安の展開でしょう。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 米ドル/円は、足元では82.00円レベルのバリアに阻まれており、当面のところは80~82円のもみ合いとなるのでしょう。

 しかし、もみ合いを経たあと、いずれは82円を上抜けて、85円へと上昇するのではないでしょうか?


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