みなさん、こんにちは。
最近は、「AI(Artificial Intelligence=人工知能)」を利用したシステム売買を行っているヘッジファンドも増えているようですが、その手法としては、「グローバルマクロ」といわれるものがメインとなっています。
この「グローバルマクロ」とは、世界中の国・地域の主要経済トレンドや政治的見通しを重視して、各国の経済、金利、為替などのマクロ指標の予想に基づいて投資を行う戦略のことです。投資対象は株式、債券、通貨など多岐にわたっています。
投資手法のメインはファンダメンタルズに立脚しており、とりわけ、各国の中央銀行の動向にかなりの神経を使っているとのことです。
そのような中、彼らがいま注目しているのが日銀の動向です。
■「committed to powerful monetary easing」で円売りに
前回のコラムでもご紹介したとおり、4月27日(金)に開催される日銀の金融政策決定会合での追加緩和決定を、マーケットは徐々に織り込みつつあります(「“6週連続陽線後の法則”どおりに調整中。ドル/円は78円程度まで下押しの可能性も」を参照)。
4月18日(水)には、西村日銀副総裁の「物価上昇1%となることが見通せるまで実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れなどを通じて強力に金融緩和を推進する」という発言が伝わったことから、米ドル/円は81円台を回復してきました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
加えて、4月19日(木)には、白川日銀総裁の次のような発言が伝えられました。前日の西村副総裁のコメントを、強烈にフォローするものです。
「日銀の白川方明総裁は18日、日銀の金融政策運営について、消費者物価の前年比上昇率1%を目指し、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れによる強力な金融緩和を推進していくことに、完全にコミットしていると語った」(出所:ロイター)
一連の当局者の発言には日本語独特のニュアンスがあり、どのように英訳されるかがポイントとなりますが、今回の白川総裁のコメントは「committed to powerful monetary easing」と英訳されました。
英語にすると、日銀のデフレに対抗するニュアンスが鮮明になります。これに欧米勢が反応し、米ドル/円は一時、81.5524円まで上昇しました。
■ヘッジファンドは80~83円で押し目買い
4月27日(金)まで、あと1週間ほどです。
今週は、アメリカ経済の回復の象徴である、電子機器大手のアップル株が4.2%も下落するなど、リスク許容度が急低下しました。
そのような状況下で、米ドル/円も80.30円まで急落する場面も見られましたが、前述の西村副総裁の発言で円安に振れたため、その後は81円台まで戻しています。
結果的に、日銀当局者のコメントを材料に、4月27日(金)の日銀金融政策決定会合までは、米ドル/円の下値が限定的となるでしょう。
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