最近は週明けの早朝の相場動向が気になるケースが続いている。今週もギリシャのユーロ離脱問題やアメリカの金融機関の巨額ロスの話などで、週明けがどうなるかに注目が集まった。その判断はグローベックスでのオープニングを見てからになる。大きくマドを開けて沈んで始まった米国株だったが、アジア時間では下げも止まってしまい、日本株などは反対に堅調な時間帯が多かった。
そのためユーロドルが1.28台に突っ込んでいるとはいうものの、なかなかリスクオフ的に追随ショートにしていけない。海外市場にシフトするまでにはまだ時間もあり、その間に反対のトピックも出てくるかもしれない。そう思いながら見ると、米国株の安かったのは早朝だけで、あとはどちらかというと堅調。つまり株売りのストップ注文だけをつけにいったという格好になっていた。
テクニカル的にも1.28台に突っ込んだユーロドルは完全に売りを示唆している。もし仮にユーロドルを売り込んだにしても、買い戻しのストップ注文は置きどころがはっきりしていて、先週の安値である1.2904のちょっと外側でよいのだから、1.2910あたりまで我慢すればよいだけだ。私はアジア時間では売りきれずにいたので、しかたなく欧州時間の入り際を捕えるしかなかった。
欧州序盤ではドル円が80円台に乗せてきた。ドル円が上がってくるだけで、ついリスクテークの相場展開かと思ってしまうあたり、最近の相場に目が慣れ切っている証拠とも言える。一方でユーロドルは値幅こそ狭いものの安いほうをトライしていた。形の上ではドルの全面高だ。う~ん、なんでドル買いになるのか。なにがしら材料でもないものかと、いろいろ探ってはみたが、ニュースは何もない。
米金融機関の話からすればドル離れ的にドル売りとなってもおかしくない話題ばかり。それでもマーケットの値動きを中心に探っていくと、米ドルの短期金利がものすごい勢いで上がっている。これは不可思議な現象である。なぜならば朝から株安によってリスク回避的に長期債は買い上げられて、長期金利は低下しているのだ。とくに10年ものの利回りは1.80%も割り込んできて、去年9月下旬につけた歴史的な手水準である1.691%に猛烈に近づいている。
質への逃避が極まっているからだ。つまり短期金利と長期金利がマタ裂きで変動しているわけだ。これはつまりドルの金利スワップでレシーバーが多いということだ。そういえばJPモルガンは金利スワップに関するヘッジで当て方を失敗したと言っていた。きっとそれの無理なアンワインドが出ているのだろうと想像がつく。実際にそうしたフローがまだ出ていなくても、きっとそれを見越したフロントランニング的なポジショニングの構築がどこかでなされているのだろう。
長期金利が下がって、短期金利が猛烈に上がっている。このような場合についていく指標にすべきは短期金利の方である。妙な解説で「長期金利が低下したからドルが売られた」などと耳にすることがあるが、取引したことがないのだろうなと微笑んでしまう。長期金利がさがるということは米国債が買われているわけで、資産効果から言えば明らかにドル買い要因である。それでも通常は同時進行的に短期金利も下がっているので、ドルの魅力の減退、すなわちドル売りとなっているだけなのだ。
さてドルの短期金利に異常が起こっているのを確認して、私は俄然、ドルロングに自信が湧いてきた。そこで売ろうと考えていたユーロドルを売り込む。@1.2877なので、いかにも遅きに失した感はあるが仕方がない。ロスカットも当初の予定通りに1.2910で置く。米国市場では経済イベントがないため、ほとんどがポジションのアンワインドと欧州の事情に左右される一日となろう。
しかし欧州時間でのユーロドルの動きは予想以上に緩慢だった。1.2850を割り込んでくるまでが、ものすごく時間がかかった。以前のような激しい動きは期待できない今日この頃であるのも確かだが。取りせず利食いは100ポイント下でセットして寝てしまった。早朝に相場を見ながらポジションをクローズしようと思った。
早起きしてニューヨーククローズを見ると、株価はほとんど安値引け。それをうけてニューヨークの午後からはリスクオフの相場展開になったようだ。ユーロクロスは全滅しており、ユーロポンドは0.79台にしっかりと腰を据えており、ユーロ円も102円台に沈んだ。ユーロドルは1.28台を割り込むことはなく、早朝のレベルはほぼ安値圏であり、1.2825アラウンド。本来ならば持ち続けるべきところだが、当初の予定通り、いったんは利食いすることにした。
今朝にイタリアの銀行がいくつか格下げされて、それによって一時的にリスク回避の度合いを増したが、アジア時間が終わる頃には回復。何事もなかったようにマーケットは推移している。今晩はたくさんの経済指標が出てくるが、相場の地合いが悪化しているだけに注目はエンパイア指数などといったセンチメント系になるのではないか。
個々別々に反応は出来ないので、集大成としての米国株の値動きに着いていくのが無難かもしれない。現状では切り返しの途上にあるのでリスクテーク中のようにも見えるが、アッパーサイドは株もユーロも重そうだ。もう一度、セル・オン・ラリーの売り場探しだと考えて、相場の上昇を見極めることにする。
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