マーケットはますますリスク許容度を増してきている。リスク性の高いもの、つまりは原油や株など、とても高いところを買っていくのに、段々と恐怖感が薄れてきているようでもある。日本株も先週金曜日の東京クローズで、これで12週連続の週足ベースでの上昇となった。
これは1971年以来のことであるらしいが、それほども特殊なことが起こっているようには思えない。それでも去年の海外市場で見られた金融緩和への期待相場と同じように、リスクテークは続いているのが実情だ。
ここのところ、円売り圧力の増大にともなうドル円やユーロ円の上昇が目立ってはいるが、一方でポンド安もきつくなっている。これだけユーロドルが上昇しているのだから、同じ欧州通貨として、また隣の国としてポンドドルも並んで上がっていってよさそうなものなんに、ひたすら下がっている。
それが顕著に出ているのはユーロポンドのレートであり、1月相場だけで500ポイント近くも上がってしまった。それが金曜日の欧州序盤ではさらに買い戻しのストップ注文も巻き込んで、さらに上昇。ニューヨーク時間でも一段高し、ユーロポンドは100ポイント以上の上昇を演じた。
そして雇用統計だが、それに向けて期待されていただけに発表前は米国株が高いのに合わせて、ドル円やユーロ円が高いまま。またユーロポンドの買い上げによってユーロドルも1.36台の後半まで上がっていたので、リスクフルの状態で雇用統計を迎えることになった。でも結果は予想よりも悪くて、為替相場は素直にドル売りで反応した。
ドル円は92円ちょうどを割り込んできたが、それでも相場が崩れるというほどの下げもしない。それまでの日中の安値である91.60あたりも下回らないのだから、真剣にリスク回避しているとは思えない。私もちょっと拾ってみようかなと思ったが、どうせならば0時発表のISM景況感を待つことにした。
ISM指数は予想よりも良くて、こちらのほうにマーケットは過剰に反応した。坂社のほとんどがリスクテークの方向にポジションを作りたくて仕方がなかったのだろう。あっというまにそれまで越えられなかった92.30レベルを越えてきたので、私も92.41で買ってみた。
どうせ次の日に週末で相場もお休みになるわけだし、ちょっと夜更かしして相場につきあってみることにした。ロスカットはそれまでの高値水準であった92.30割れでよい。良い材料には飛びつく相場つきなのだから、ドル円ももののはずみで93円台までいってしまうかもしれない。
ドル円が動き出したのは4時半以降だったようだ。さすがにそれまで待たされてくたびれていたので、私は上がってきた頭をおさえて92.72で利食い売りしてしまったが、その後は92.95まで上伸した。ユーロ円ももちろん高く、127円台の手前まで上がっている。
今日は早朝からドル円の上値追いかけ、すなわち93円台へのつっかけがあるかとも期待されたが、意外にも上攻めをしなかった。これはちょっと拍子抜け。アジア時間の午前も利食い売りのほうが断然と出てきて、ユーロ円の押し下げにより、ユーロドルも値を押されている。
今晩は経済イベントが少ないので、先週末の相場展開を確かめる場となりそうだ。雇用統計への信頼は継続するのか。それゆえに米国株の高さはキープできるのかなど。アジア市場と欧州序盤だけを見る限りでは、相場の調整モードに差しかかっているようにも見える。ドル円は雇用統計の前後でもんだ92円ちょうどあたりがサポートとしてワークしそうだが、ちょっと遠くなってしまった感じもする。
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