先週は週の初めにキプロス問題で沸いて始まったが、最終的に金曜日の終わり時点ではかなりの楽観的な見方が台頭し、「どうせ何とかなるだろう」という意見が強くなった。25日の月曜日にもキプロス支援のデッドラインを控えているというのに、金曜日の海外市場ではほとんどリスク回避の行動は見られず。私も前日から引きずっていたユーロドルのショートは、1.29台の中盤に至るに及んで、ロスカットさせられてしまった。
欧州序盤では94円台の前半まで差し込んでいたドル円も、ニューヨークオープンのころには95円台に急接近するまでに回復。なんだかいつものことだが、危機だと騒いだ後は、危機の始まる直前のレベルをも上回るほどのリスクテークが進むことが多い。
9.11テロでWTCに飛行機が突っ込んで行ったときも2カ月で元の株価水準を越えてきたし、2009年以降のQEによってサブプライムローンで沈み込んだ分も完全に取り戻した。今回もすでに米国株などは今年の最高値ゾーンにまで急接近してきており、もう何もなかったかのようにふるまっている。
そうとなると、ここからがなかなか難しい。目の前の短期トレンドに従ってドル円やユーロ円をロングでついていくべきなのか。それとも月曜日の相場動向を確認して、また欧米でのキプロス問題の評価を待ってから、手を出すべきなのか。
今日は早朝から緊急で開かれているEU財務相会合に注目が集まった。25日までとされているデッドラインに向かっての最後の交渉だからだ。欧州では日曜日の夜だというのにキプロス支援で議論しているのだから、そこから発せられる結論は重大な意味を持っている。
アジア時間早朝の為替相場ではそれほども大きな動きもなく、先週末のレベルとほとんど変わらないところでやっていた。ドル円は94.60あたりで、ユーロドルは1.2975あたり。しかし 9時前には原則的に合意という報道が流れ、リスク性の高いものに資金が移動する動きが強まった。ドル円は94円台の後半へ。ユーロドルは1.30台のミドルまでジャンプ。
日本株も強く始まり、グローベックスでの米国株も今年の最高値の領域にまで達した。どうせ支援は決定するだろうとは思いながらも、キプロス問題が大きくなる以前の水準まで行ってしまうというのも、ちょっとやり過ぎの感じは否めなくもない。実際にキプロスの信用力が高まったわけではないのだから…。
とにかく今晩の海外市場での反応を見るしかなさそうだ。キプロス問題が終わって、イベントはもうほとんどない。バーナンキ議長が日本時間の深夜に話す予定だが、これも今までの意見と違うものが出てくるとは思えない。ひとつの注目材料は米国株の行方である。
ダウ平均株価は史上最高値を更新しているが、S&P先物などでは今年の高値は更新したものの、歴史的な最高値が後に控えている。あと20ポイントほどだ。一日でも十分に到達しうる距離である。これをトライするのか、それとも材料出尽くしで反落するのか。これを見ながらの為替取引になるのはやむをえない。
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