株で失敗、残ったお金を牛に投資っ!?
今回、紹介するぺたーさんは夫婦2人、FXで生計を立てる専業トレーダーだ。アベノミクス円安の始まりにはちょっと乗り遅れたが、買い中心に転換した1、2月はもと月15%ペースの収益を確保。200万円以上の利益をあげている。
「最初にやっていたのは株でした。多いときには300万円くらいあったんですが、ライブドアショックでほとんどヤラレてしまって。100万円くらいしか残らずに、そこからですね」
株で失敗してわずかに残った資金をレバレッジが効くFXに転用、成功を収めたトレーダーは意外と多い。ぺたーさんも残った100万円でFXを?
「いや、牛を買ったんですよ。限界集落に近いんですが実家が牛をやっていて。ちょうどBSE騒動の時期だったので高かったですね。普段は30万円くらいの子牛が40万円くらいした。それを2頭買って」
実家の酪農を手伝いながら平日はFXに専念
意外すぎる、この経歴。ぺたーさんはドルを買えば牛も飼う酪農兼業トレーダーだったのだ。
「残った20万円でFXを始めたんですが、最初の3、4年はボコボコでしたね。ぜんぜん勝てなかった。酪農もやっていましたが、それだけでは生活できないんで、牛は親に任せて、山を降りてバイトしました」
手元の20万円はあっという間に溶けた。でも、すごいというか、見習っちゃいけないというか、借金をしてぺたーさんはFXを続ける。
「20歳のころから株をやってて、ずっと相場と付き合ってきたんで離れられなかったんですね。みんな億万長者の夢とか見たりするじゃないですか。でも、宝くじを買うくらいなら相場で稼ぎたいっていうのはありました」
アベノミクス円安で稼いだ意外なご褒美は?
この執念が成功の要因か。バイトをしながらFXの原資を稼ぎ、やがてトレーダーとして開眼。今年2月の利益は332万円、1月も265万円と、この円安相場を追い風に着実に利益を上げている。
「2月がんばったごほうびを買ったんですよ。かっこいいでしょ? この油圧ショベル」
ゆ、ゆあつしょべる……?
「岩を動かしたり畑を起こしたり、牛舎まわりの作業が捗るようになりました。知ってます? 子牛って生まれてから300日くらいで売られていくんですよ。そのあとは肥育といって霜降りの和牛に育てる専門の農家さんがいるんです。ドナドナですね」
これはこれでとても興味深いけど、今日は牛の肥やし方じゃなくてお金の増やし方。ぺたーさんのやり方、聞いていこう。
超短期取引のスキャルピングが得意ワザ
「僕がやっているのはスキャルピング。5秒とか10秒で決済してしまう超短期の取引です。バイトしてる時期、長く持つ取引をしていたこともありますが、いいことなかったですね。含み損が出ていると気になってうわの空。含み益でも早く決済しなきゃとソワソワしちゃう」
FXで大切なのは自分の取引スタイルを決めること。あっという間に取引を終えちゃうスキャルピングが合っている人もいる。
ぺたーさんの得意時間は「指標ラッシュ」の手前まで
「あとは得意な時間に絞って取引すること。僕は昼の3時から夜10時くらいまで。経済指標の発表が集中する10時以降に取引する人も多いと思うんですけど、僕にとっては難しい。人がいっぱい参加しているときは、いろんな人の思惑で動くから、読みにくいんです」
スキャルピングをやっている人には、むしろ経済指標発表直後など、相場がよく動く時間が得意な人が多い。「どちらが正解」というわけではなく、自分が得意な時間を選ぶのが大切だ。
「初心者の方にはスキャルピングいいと思いますよ。でも大切なのは損切り」
1取引50万通貨単位で小さな利幅を狙う
5秒、10秒で決済するからスキャルピングでとれる利幅は小さい。ぺたーさんも1取引で数銭ほど。だから、損切りが遅れて一回の取引で50銭も100銭も負けてたら、取り戻すのにすご~く大変になる。「損切りは早めに」がスキャルピングの鉄則だ。
「1回の取引は50枚(50万通貨)くらいです。ホントはもうちょっと増やさんとあかんのですよ。100枚とか。でも、約定力とかスプレッドの問題とかあるので50枚です」
取引枚数が多いのはスキャルピングならでは。5銭の利幅だったら1万通貨で取引しても利益は500円。これじゃなかなか儲からない。でも50万通貨での取引なら5銭の利幅でも2万5000円。これだけ取引枚数が多いから、損切りも大切になるわけだ。なにしろ50万通貨の取引で1円幅の損切りをしたら50万円の損失だ。スキャルピングするときは、損切りは絶対のルールだし、それができない人にスキャルピングする資格はないのだ。
「チャートは一切見ない」……えぇっ?!
いちばん気になる部分、ぺたーさんはどうチャートを判断して、スキャルピングしているのだろうか。
「チャートは見ないんです。レートパネルだけ。変に情報を見ると損切りができなくなっちゃう。だから他の人のブログや専門家の見通しは見ないし、チャートも情報だから見ないんです。みんな説得力があるから、僕はすぐに信じちゃう(笑)」
「世界一頼りない自分」だから損切りできる
ぺたーさんのやり方はかなり極端だけど、でも、大切なのはブレないこと。いろんな人の意見を聞いてると、損切りすべき時に、「あのプロが『上がるよ!』って言ってる人がいるから、まだいっか」なんて思っちゃう。
「だから、情報は一切見ないんです。『為替の世界でいちばん頼りがないのは自分』と思ってるんで、その自分の判断で売買して反対に動いたら、すぐに損切りできるでしょ?(笑)」
そんな考え方もあるのか……。でも、自分で組んだシナリオに従って売買して、「シナリオが間違えていたらすぐ損切り」というのは正しい考え方。ぜひ取り入れて。
レートパネルの変わり方だけでトレードする
「僕が見ているのはレートのパネル画面だけ。いくつかの業者を見比べますが、それだけでトレードします。よく狙うのはストップロス(損切り)の動き」
買い手がたくさんいるなかで、相場が下がると買っていた人たちは買いポジションを損切りするから売りが増える。売り手がたくさんいるときに上昇したら、売っていた人たちは買い戻して損切りする。
「このストップロスは『○○円ちょうど』とか、その日の高値・安値のそばに多いと思うんですけど、でも、どこに大量にあるかはわからない。だからストップロスの動きそのものじゃなくて、ストップロスが一服したあとの小さな反転を狙うんです」
ストップロスがついた直後の反転を狙う
ややこしいのでチャートを見ながら読んでほしい。でも、説明で使うチャートはぺたーさんのリクツを説明するためのもので、ぺたーさんはチャートを見ていないのでご注意を。
この日の動きは下げトレンド。下がっていたら売り手が増えている相場だから、ストップロスの動きは買い戻しの上昇となる。でも、そのストップロス注文がぜんぶ約定したら市場に買い手はいなくなるから、今度は下落していく。ストップロスがついたときの動きは上昇、それが終わったら下落だ。ぺたーさんが狙うのはストップロスがついたあとの下落。ここで小さな数銭の幅を抜いていく。
チカチカ変わるレートパネルにヒントがある
「上昇の動きがストップロスじゃなくて、新しい大きな買い手だったりすると、そのまま上昇しちゃうので損切りになりますけど」
じゃあ、それをどうやって見抜くかというと、百発百中じゃないけど、レートの動き方にヒントがあるようだ。
「複数の会社のレートを見ていると、レートの変わり方が違ってきて、かつ動きが早いときはストップロスかなと思います。ストップロスじゃなくて誰かが本気で買ってきているときはじわじわとくるので」
このあたりは経験が必要か。初心者がいきなりマネしても厳しそう。でも、売買を判断する根拠はチャートやニュースだけじゃない。こんなやり方もあるのだと頭に入れて、レート画面の変わり方に着目すると、思わぬヒントが見つかりそうだ。
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