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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ユーロプチバブルは最終段階で崩壊寸前!
一方、「陰の極」にある豪ドルは反発必至!

2013年06月14日(金)18:06公開 (2013年06月14日(金)18:06更新)
陳満咲杜

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■ユーロのプチバブルは最終段階に来ている

 ところで、ユーロの堅調は米ドルサイドの事情のみでは説明しきれないところがある。

 1.3400ドルの大台に接近したユーロ/米ドルは、EU(欧州連合)圏自身の事情も見逃せない。それは皮肉にも、EU危機が一段と遠のき、状況が改善されつつあることが原因である。

 もっともわかりやすい例として、2013年年初来、EU圏債券のパフォーマンスがもっともよいカデゴリーに数えられることを挙げてみたい。

 ドイツ銀行の統計では、年初来、ユーロ建て債券の発行額は381億ユーロに達し、2012年の350億ユーロの規模を上回り、ほぼ確実に2010年の400億ユーロ規模を上回るという。

 EU危機の鎮火で、ユーロ建て債券の収益と流動性にひかれて、ユーロ圏へ資金が流入してきた。それがユーロを押し上げ、ユーロのプチバブルを演出してきたと思われる。

 しかし、こういった要素はすでに今のレートに反映されている。ドルインデックスの調整が最終段階にあるのと同じように、ユーロのプチバブルも最終段階に来ていると思う。

 その根拠について、ややユニークであるが、ファンダメンタルズとテクニカルの2つの視点から見てみたい。

■ユーロ高の基礎が徐々に崩れていくメカニズム

 まず、EU危機の後退は一定の期間においてユーロにプラスの影響を及ぼすが、一定期間を過ぎると、今後、ユーロを支えるもう1つの要素を失うことにつながりかねない。もう1つの要素とは、資金の本国還流だ。

 EU危機がこれまで何回も深刻化してきたにもかかわらず、ユーロが大して崩れていなかったのは、危機の途中で、損失の穴埋めや体力増強に努める必要があり、EU圏の銀行と企業が海外資産を処分して、本国に帰還させる動きがあったからだ。

こういった需要が次第になくなると、ユーロ高の基礎も徐々に崩れていく。このあたりの理屈は、不況の時こそ円高になりやすいといった理屈と同じであるから、十分想定できるものだ。

 EU債券の好調は、ECB(欧州中央銀行)のみでなく、FRB政策の継続とも深い関連がある。そして、FRBの政策変動観測が高まるにつれ、2013年前半に見られた好況が続かなくなる恐れがあるから、ユーロ高はやはり最終段階にあるのではないかと思うわけだ。

 ちなみに、以前に指摘していたユーロ/米ドルの「三尊型(※)」フォーメーションはなお健在で、今月(6月)にて右肩のトップをつけると推測される。

【関連情報】
先行指標の豪ドル/円が上昇トレンド終了。GMMAチャートは円高の流れを示唆!(2013年5月31日、陳満咲杜)

(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)

ユーロ/米ドル 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

■ユーロ/豪ドルの上昇はもはや継続不可能。崩壊間近!

 次に、やはりユーロプチバブルの象徴ともいえるユーロ/豪ドルの買われすぎについて。

ユーロ/豪ドル 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

前回のコラムに掲載したチャートより、さらに大幅上昇したユーロ/豪ドルは、オーバーボートの度合いを一段と深刻化させ、もはや継続不可能の段階に来ている。

【参考記事】
成長戦略が市場を満足させない理由とは? 米ドル/円は下落トレンド継続を覚悟すべき(2013年6月7日、陳満咲杜)

 仮にこれから上昇が続くとしても、1回大きな調整が避けられないとみる。

 具体的なテクニカル分析はまた次回に譲るが、ここで指摘しておきたいのは、ユーロ/豪ドルの現時点の状態は、日経平均と米ドル/円の5月23日(木)直前における状況と同じである。崩壊間近だからこそ、ものすごく強く見えるわけだ。

■マイナス要素がすべて織り込まれた豪ドルは反動高必至

 反対に、ものすごく弱く見えてしまうのが豪ドルだ。豪ドルはユーロに対してのみならず、英ポンド、加ドルに対しても、ともに大きく売り込まれ、「陰の極」な局面にある。

 中国経済減速とか、利下げとかのマイナス要素がすべて織り込まれる形で現在に至ったわけだから、これからの反動高は避けられない。

 それらのうち、もっとも買われすぎたのがユーロ/豪ドルだから、ユーロプチバブルの崩壊は豪ドルの切り返しから始まるのではないかと思う。もっとも、昨日(6月13日)の値動きから考えると、修正がすでに始まった公算も大きい。

 前回のコラムでも指摘したように、WSJ(ウォールストリートジャーナル)の報道で、「ヘッジファンドの大物が豪ドル売り準備」といった報道があった。

 日経平均が下げる途中で出た「関係筋から、あのソロス氏が日本株をまた買い始めたという情報」といった報道と同じく、このような報道は鵜呑みにするばかりか、反面材料としてとらえるべきだ。

 猫も杓子も売りだしたら、もうすでに終わっているから、豪ドルに関して目先安値を追うべきではないことは確かである。

(2013年6月14日 15:00執筆)

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