■市場に安心感を与えようと懸命なバーナンキ氏
マーケットを刺激しないように、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の最近の発言は、穏やかな調子に終始している。
QE(量的緩和策)縮小は経済状況次第と強調した上、出口政策自体は利上げ開始にほど遠いことにも言及、マーケットに安心感を与えようとの意図が鮮明である。
この分、ドルインデックスも反落が続き、先週(7月8日~)からの調整色を継承しているように見える。
テクニカル的な要素では、ドルインデックスの週足におけるRSIの弱気ダイバージェンスがもっとも有力視されるが、ポジション調整の意味合いでは、IMM(国際通貨先物市場)のデータが示唆に富む。
■ドルインデックスのRSIは反落を示唆していた
2011年5月からドルインデックスは上昇トレンドを維持してきたが、RSIは70レベル手前で押さえられてきた。
最近では、先週(7月8日~)の高値が5月高値を更新したものの、RSIはむしろ弱気ダイバージェンス(※)の様相を強め、いったん反落の可能性を示唆していた。
(※編集部注:「ダイバージェンス」とは、相場の値動きとテクニカル指標の動き方が逆行することを意味する)
(出所:米国FXCM)
前回のコラムにて指摘していたユーロ/米ドルの「三尊型(※)」、ネックラインを一時割り込んだにも関わらず、先週(7月8日~)からユーロの切り返しが続いているのも納得できる。
【参考記事】
●米ドル/円の上昇は限界! 高値更新にはいったん下落が必要とみる理由とは?(2013年7月12日、陳満咲杜)
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
■米ドル/円も日経平均につれ、反落の機運が高まるのでは
米ドル/円については、最近はドルインデックスとの相関よりも、日経平均、つまり、株価との相関性が高いと思われる。
本日、一時100.86円まで上昇したものの、日経平均の急落で執筆中の現時点では99.79円まで反落。頭の重さを示唆している。
(出所:米国FXCM)
■週末の参議院選挙の結果を織り込んだ動きか
その上、日経平均にしろ、米ドル/円にしろ、あるファンダメンタルズの材料によって支えられている側面を無視できないから、同材料の実現で、逆に「事実の売り」を引き起こす可能性がある。
同材料とは、週末7月21日(日)に行われる参議院選挙だ。自民党の圧勝が予想されるなか、与党の政策推進を連想する株買い、円売りが進行しやすい状況にあり、これは材料自体に対する「事前買い」があったというほかあるまい。
ここで「ウワサで買い」と書かなかったのは、基本的には大きなサプライズを想定しにくいからだ。
つまり、自民党の勝利は、程度の差はあれどもほぼ確実だから、マーケットはそれを織り込もうとしていた。となると、仮に同じ結果が出ても、駆け込み的な株買い、円売りがあっても数が限られるのではないかと思う。
その場合、値が飛ばないと逆に利益確定の売りにさらされる可能性があるから、「事実の売り」を警戒しておきたいほどである。
ところで最近、マーケット参加者は賢くなり、他人の一歩先に行こうとする者が多い。よって、本日(7月19日)日経平均と米ドル/円の反落は、今後を先取りしようとする動きの一部として理解してもよいのではないかと思う。
ちなみに、こういった先取りの行動が多ければ多いほど、「事実売り」といった反動も少なくなるから、本日(7月19日)の値動き次第で、週明け7月22日(月)からの値動きは、割と落ち着く可能性もある。
マクロ環境では、NYダウの史上最高値の再更新もあり…
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)