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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

マーケットは「先の先」を読んだ動き?
ドル/円は参院選後を一部織り込みずみか

2013年07月19日(金)16:58公開 (2013年07月19日(金)16:58更新)
陳満咲杜

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■市場に安心感を与えようと懸命なバーナンキ氏

 マーケットを刺激しないように、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長の最近の発言は、穏やかな調子に終始している。

 QE(量的緩和策)縮小は経済状況次第と強調した上、出口政策自体は利上げ開始にほど遠いことにも言及、マーケットに安心感を与えようとの意図が鮮明である。

 この分、ドルインデックスも反落が続き、先週(7月8日~)からの調整色を継承しているように見える。

 テクニカル的な要素では、ドルインデックスの週足におけるRSIの弱気ダイバージェンスがもっとも有力視されるが、ポジション調整の意味合いでは、IMM(国際通貨先物市場)のデータが示唆に富む。

■ドルインデックスのRSIは反落を示唆していた

 2011年5月からドルインデックスは上昇トレンドを維持してきたが、RSIは70レベル手前で押さえられてきた。

 最近では、先週(7月8日~)の高値が5月高値を更新したものの、RSIはむしろ弱気ダイバージェンス(※)の様相を強め、いったん反落の可能性を示唆していた。

(※編集部注:「ダイバージェンス」とは、相場の値動きとテクニカル指標の動き方が逆行することを意味する)

ドルインデックス 週足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

前回のコラムにて指摘していたユーロ/米ドルの「三尊型(※)」、ネックラインを一時割り込んだにも関わらず、先週(7月8日~)からユーロの切り返しが続いているのも納得できる。

【参考記事】
米ドル/円の上昇は限界! 高値更新にはいったん下落が必要とみる理由とは?(2013年7月12日、陳満咲杜)

(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)

■米ドル/円も日経平均につれ、反落の機運が高まるのでは

 米ドル/円については、最近はドルインデックスとの相関よりも、日経平均、つまり、株価との相関性が高いと思われる。

 本日、一時100.86円まで上昇したものの、日経平均の急落で執筆中の現時点では99.79円まで反落。頭の重さを示唆している。

日経225 日足(クリックで拡大)

(出所:米国FXCM

■週末の参議院選挙の結果を織り込んだ動きか

 その上、日経平均にしろ、米ドル/円にしろ、あるファンダメンタルズの材料によって支えられている側面を無視できないから、同材料の実現で、逆に「事実の売り」を引き起こす可能性がある。

 同材料とは、週末7月21日(日)に行われる参議院選挙だ。自民党の圧勝が予想されるなか、与党の政策推進を連想する株買い、円売りが進行しやすい状況にあり、これは材料自体に対する「事前買い」があったというほかあるまい。

 ここで「ウワサで買い」と書かなかったのは、基本的には大きなサプライズを想定しにくいからだ。

 つまり、自民党の勝利は、程度の差はあれどもほぼ確実だから、マーケットはそれを織り込もうとしていた。となると、仮に同じ結果が出ても、駆け込み的な株買い、円売りがあっても数が限られるのではないかと思う。

 その場合、値が飛ばないと逆に利益確定の売りにさらされる可能性があるから、「事実の売り」を警戒しておきたいほどである。

 ところで最近、マーケット参加者は賢くなり、他人の一歩先に行こうとする者が多い。よって、本日(7月19日)日経平均と米ドル/円の反落は、今後を先取りしようとする動きの一部として理解してもよいのではないかと思う。

 ちなみに、こういった先取りの行動が多ければ多いほど、「事実売り」といった反動も少なくなるから、本日(7月19日)の値動き次第で、週明け7月22日(月)からの値動きは、割と落ち着く可能性もある。

■ドルインデックスはスピード調整するもののトレンドは継続

 マクロ環境では、NYダウの史上最高値の再更新もあり、警戒感と安心感が入り混じった雰囲気がマーケットに漂っている。

 バーナンキ氏の発言もあり、リスク回避の値動きは今のところ鮮明になっていないものの、テクニカル要素からマーケットには過熱感を心配、警戒する向きが多く、薄商いになりがちな夏場において、市場関係者はピリピリした緊張感を強いられている。

 短期スパンでは、NYダウの急落がない限り、ドルインデックスが一段とスピード調整する可能性を否定できない。ただし、調整が深まるとしてもあくまでポジション調整、スピード調整とみなされ、ブル(上昇)トレンド自体は継続できる見通しだ。

 ポジション調整の本意は、前回のコラムでも指摘していたように、通貨ペアごとに違う状況にあり、通貨ペアごとの値動きの相違で違った解釈があってもおかしくない。

【参考記事】
米ドル/円の上昇は限界! 高値更新にはいったん下落が必要とみる理由とは?(2013年7月12日、陳満咲杜)

 ドルインデックスは、7月9日(火)までの統計(IMM)では、ネットポジション(ロングとショートを相殺したもの)として24万4223枚のロングにあり、市場関係者がQE縮小に過大な希望を寄せていたことがわかる。

 マーケットというものは多数派をがっかりさせることが得意だから、目先の反落は、こういったポジションを軽くする動きと理解できれば、より腰の据わったストラテジーを構築できると思う。

 同様に、7月9日(火)までの統計では、ユーロのネットポジションはショートに傾き、総建玉は22万5051枚にも増えていた(7月2日までの統計に比べ、約150%増)。

 ユーロ/米ドル同様に、「三尊型」を猫も杓子も描くようになった時点で、ユーロが素直に下放れせず、逆に切り返してきたから、当面踏み上げが続いてもおかしくなかろう。

 ただし、昨年(2012年)夏場と比べ、ユーロのネットショートは総額からみればまだ微々たるものである。

 この意味では、踏み上げ一巡後、ユーロ売りの余地がたっぷりあるということで、ユーロの戻りがあれば、売り好機ととらえるべきであろう。要するに、「のりしろ」が大きい分、ベア(下落)トレンドの進行余地、なお大きいと思われる。

■米ドル/円の「荷物整理」は来週も続く

 対照的に、米ドル/円は高値圏に留まり、円の先安感が強い、または円安予想の多い中、円売りポジションに傾き、また円売りポジションが増加傾向になることも推測されやすい。

 7月9日(火)までの統計では、ネットショート8万枚超となり、2007年前半以来の高い水準にある。

IMMネットポジション 米ドル/円

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 これから円安トレンドが続くにしても、より高い山を登っていくには、重い荷物を下ろす必要があるように、傾いた円売りポジションをいったん整理しないと、円安トレンドの加速が難しいとみる。

 したがって、米ドル/円の「荷物整理」は、来週(7月22日~)も続く公算が高いとみる。

■ユーロ/円、英ポンド/円は売りの好機?

 最後に、前回予想していたユーロ/豪ドル、英ポンド/豪ドルのシナリオは、両通貨の高値更新によって「進行路線」の間違いが証左されたが、完全な間違いではないと思う。

【参考記事】
米ドル/円の上昇は限界! 高値更新にはいったん下落が必要とみる理由とは?(2013年7月12日、陳満咲杜)

 ゆえに、ドルインデックスの反落が続くかどうかと関係なく、短期スパンにおける豪ドルのリバウンド余地は、なお大きいとみる。

 また、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルの切り返しが短期スパンにおいてなお継続されるなら、ユーロ/円、英ポンド/円も高値トライの公算が大きいが、5月高値さえ超えなければ、2013年の年内一杯におけるもっともよい戻り売りの好機に恵まれると思う。検証はまた次回に。

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