■ドルインデックスは安値圏を脱したものの…
米ドル全体の反騰の基調が続いている。売られすぎていたドルインデックスは、もはや「売られすぎ」に対する修正段階を超えて、新たな変動段階に来ていると思う。
(出所:米国FXCM)
たびたび指摘してきた、ドルインデックスにおける下落ウェッジの上放れが今週(11月4日~)に入ってからみられた。ドルインデックスは安値圏を脱し、これから米ドル高へ基調転換を果たす可能性を示している。
一方、短期スパンでは、昨日(11月7日)の波乱が道のりの険しさも暗示しているようにみえる。11月7日(木)のドルインデックスは100日移動平均線(100日線)にて頭打ちの気配を示し、長い上ヒゲ風チャートを形成した。目先の戻りの限界として意識させられる。
さらに、米ドル/円は、より大きな波乱をもって不確実な地合いを示していた。
(出所:米国FXCM)
上のチャートで示したように、米ドル/円は100日線を超え、5月高値から引かれた大型トライアングルのレジスタンスラインをいったんブレイクしたあと、一転大幅に売られ、再度200日線を打診したほどの激しい値動きとなった。
筆者は米ドル/円における大型トライアングルの上放れを重ねて主張してきたので、同レジスタンスラインのブレイクを当然、サインとして重視していたが、さすがに昨日(11月7日)のような大波乱にやられ、現在はその上放れサインがダマシであったことを認めざるを得ない。
■ドラギ・ショックが市場センチメントを牽制
昨日(11月7日)の波乱は、2つのショックがもたらしたと思う。1つは「ドラギ・ショック」で、もう1つは「米GDPショック」であった。
まずECB(欧州中央銀行)が予想外の早期利下げに踏み切り、マーケットにサプライズを与えた。
数多くのサプライズ的な決定に長けているドラギECB総裁であるが、2013年年末まで待たずにいち早く行動したことは、手持ちカードを早々に切ることに等しい。これが市場関係者を驚かせた。
ユーロ/米ドルの大幅下落はその表れで、マーケットは同ショックをこれからも織り込んでいくだろう。
ECBに行動を促したのは、10月のインフレ率低下に違いない。ECBのインフレターゲットである2%を遥かに下回る10月の0.7%という数字がドラギ総裁の決断を促し、早ければ12月には利下げするだろうとマーケットは読むに至った。
しかし、昨日(11月7日)、ECBが早期決定したことは、マーケットの予想より状況が悪化している可能性を示唆し、市場関係者は「のんびり」した考えを再考させられた。
もっとも、ECBが一番危惧しているのは、デフレに陥ることである。早期利下げをもってデフレの芽を早期に摘み取りたいだけでなく、中銀として断固とした姿勢を表明したという意味合いもある。
ECBの政策余地が限られていることから、「デフレの戦車の前に、ドラギはまるで豆鉄砲しか持たない」と言われるように、一部市場関係者はECBをなめていた節があった。ECBは今回のサプライズ利下げをもってマーケットにメッセージを送り、市場センチメントを牽制する狙いもあっただろう。
いずれにせよ、今回のECBの決定は、マーケットのセンチメントを…
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