■米雇用統計のポジティブサプライズで株価急伸!
先週末(12月6日)に発表された11月米雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)が20万人台に乗せたという事実もさることながら、失業率が、なんと10月の7.3%から7.0%にまで一気に急低下する結果に驚かされました。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
市場は、このポジティブサプライズの数字に米ドル買いで反応したほか、NYダウや夜間取引の日経平均先物も急伸するという反応を示しました。
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(出所:米国FXCM)
これまでの反応は、強い米指標が出ると、「テーパリング開始時期が早まる」との憶測から株価が軟調に推移するというものでしたが、今回はまったく逆の動きとなりました。
(※編集部注:テーパリングとは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
■テーパリング開始時期と同時に何を行うかに注目
イエレン次期米FRB(米連邦準備制度理事会)議長の議長指名公聴会や直近のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明文でも明らかにされているように、テーパリングの開始については、「今後数回のFOMCで毎回検討する」わけで、それ以上でも以下でもありません。
非常にはやし立てやすいテーマであることから、マスコミなどにもことあるごとに取り上げられていますが、もはや議論は「テーパリング開始と同時に何を行うか」という方向に移りつつあります。
FOMC議事要旨でも述べているように、FRBは正常な金融政策に戻すためのテーパリングを開始すべく準備していますが、それと同時に、ネガティブな影響をオフセットさせるために、逆にさらなる金融緩和も検討しています。
■ネガティブな影響をオフセットするための金融緩和
可能性の高いものは2つ。「超過準備預金金利の引き下げ」と「フォワードガイダンスの引き下げ」です。
特に、フォワードガイダンスは異例の低金利を継続する期間の目安として設定されていますが、現実的には、失業率を現状の6.5%から5.5%に引き下げる案が浮上しています。
先週末(12月6日)、すでに7.0%にまで急低下している数字を考慮すれば、こちらの数字を引き下げることによって、実質ゼロ金利の期間をさらに引き伸ばす緩和策が妥当なのかもしれません。
米財政協議の事実上の決着なども後押しするなか、著名FEDウォッチャーのジョン・ヒルゼンラス氏は2013年12月のテーパリング開始を予想するなど、引き締め政策への転換の環境は整いつつあります。FOMCメンバーからも早期開始を示唆する発言が出てきています。
今後は、消費者物価指数(CPI)や個人消費支出(PCE)などインフレ指標の動向が重要になってくるのではないでしょうか。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:米国主要経済指標の推移)
いつになるのかは別として、仮にテーパリングが開始されたとしても、瞬間的には株価は下げるかもしれませんが、すぐに持ち直すと思っています。ただ、中期的に見れば新興国などへの影響も出るでしょうし、世界経済の成長率を低下させることにも留意しなければなりません。
一方、日本経済を見てみると…
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