昨日の欧州序盤では、ドル円はすでに102円台の後半に差しかかろうとしていた。米議会での妥協の動きが、緩和縮小もありうるという観測を強めたためだ。緩和縮小はタイトニングなので、それはすなわちドルの魅力を増大させること。ドル買い材料である。前日に大きく米国株も下がったりしているので、すでにかなりの部分を織り込んでしまったという感じもしないではないが、やはりQE3において資産購入の対象であった米国債の価格が一段安するようなことにでもなれば、やはりドル買いに勤しみたくなる。
ユーロ円のほうはかなり上値攻めの時間が続いており、だいぶレベルにも目が慣れてきたということもあって、高値警戒感は薄まってきているようだ。しかしドル円のほうはまだ5月につけた103.72がキャップしているので、103円台に乗せてきても上がるには時間がかかりそう。そんなことを考えながらの欧州時間であった。
ここ1年の円安政策のため、いろいろな国で通貨高が問題になっている。昨日もSNBの総裁が「もうしばらくはスイスフラン高が続くだろう」とコメントしている。ユーロスイスは無制限介入をしていた時期のレベルである1.2000に限りなく近づいてきている。そしてRBAの総裁も「オージーは0.85台までの下落が必要」と嘆いている。どこも通貨高で困っている。
アメリカの経済指標はマチマチだった。小売売上高は予想よりも良かったのだが、失業保険のほうがたいへん悪かった。発表と同時にマーケットは上も下もやってしまったという感じで、次はニューヨークオープンに向けてテイパリングとの戦いになる。
米国債の価格が落ちてきた。10年ものの利回りは2.88%台まで上昇してきて、これは緩和縮小で盛り上がった9月のFOMCの直前につけた3.00%に次ぐものである。為替レートの動きはスピードが足りないように見えたが、それでも着実にドル高は進んだ。ドル円はついに103円台を回復。その後はドルが実に堅調な動きを示した。
私としては長期金利の動きが気になって仕方がない。そこでドル円を中心に何度かドルロングで仕掛けてみた。あまり派手な動きがないので、5ポイントだけ取るのにも時間がかかる。あまりアゲインストに持って行かれなかったからよいようなものの、トレードした回数の割りに、それほども値幅を取りきっていない。ともかくニューヨーク時間を通じてもドル買い圧力は強く、そのままドルは全面高の、高値引けをした形だ。
今日は早朝から本邦勢の円売りで、ドル円もユーロ円も昨日のニューヨーク高値をブレークして始まった。これでドル円も今年の最高値である103.72をうかがう姿勢に入った。あと10ポイントだというところで引っかかった。やはりテクニカルのパワーはすごい、と思ったのだが、ランチタイムについに抜けてきた。
でも更新したのはほんの10ポイントほどだけだったが、これを実現するまで何度もトライしたことを考え合わせると、奇妙な達成感が出てしまうのも不思議である。14時半に向けては思惑的な買いも入ってきて、さらに10ポイントほど高値を更新して、また103.70近辺に落ち着いてきた。
今晩はアメリカのPPIくらいしかイベントがない。いうまでもなく、テイパリングを意識した相場展開となるのは明らかで、それにはアメリカの長期金利の一段の上昇が必要にだと思う。米国債10年もので少なくとも3.0%の大台を越えてくるようでないと、フレッシュなフローは巻き込まないだろう。逆に言うと、今のステージがいっぱいいっぱいだったということにもなりかねない。注意深くウォッチしたいものだ。
日本時間 15時20分
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