いろいろ書いたが、要するに現時点(2013年末)の株高・円安、バブルの疑いが濃厚で、市場センチメントも強気に行き過ぎている。ゆえに、来年の予想、特に前半のマーケットの見通しは甘くないと思う。
■2014年春に「イエレン・ショック」の可能性!?
バブルを予測できたとしても、バブルがいつ弾けるかは予測しづらいことは前述のとおりだが、あえて言うなら、「イエレン・ショック」という形で2014年春に見られる公算が高いのでは。
というのは、FRB(米連邦準備制度理事会)の新議長就任に伴って、何らかの危機が発生するというジンクスがあるからだ。2014年早々に危機が発生してもおかしくなかろう。
その上、日本の場合、日銀政策に対する過大な期待が蔓延しており、過大な期待自体、目先の値動きに織り込まれている可能性がある上、過大な期待である以上、裏切られるリスクが高いから、要注意だ。
構造改革を伴わず、財政・金融政策ばかりに頼るアベノミクス自体、このままではいずれ限界を迎えるだろう。
■米ドル/円は110円といった「びびる」上値ターゲットを提示
こういった視点をもって2014年の相場を展望すると、2014年の前半は干支で言う「馬尻下がり」の相場になるのではないかと思う。
日経平均は2013年6月安値の1万2415円前後に落ちてこないと調整とは言えないから、米ドル/円も90円台前半、場合によっては90円割れのような展開ではないかとみる。
ただし、2011年10月末につけた史上最安値から米ドル/円相場はすでに反騰しており、15年サイクルで測ると、最短でも2015~2016年まで上昇トレンドが続くから、反落はあくまで調整で、いったん落ち着くとまた上昇してくるだろう。
とはいえ、押しが深いのであれば、上値ターゲットも制限される。仮に93円まで調整があった場合、20円の年間値幅を想定しても、上値は113円程度に留まるから、実際の上値ターゲットはもっと低いのではないかとみる。
2013年はアベノミクスでも18円前後の値幅(現時点のレートで計算)しかないことを考えると、皆が強気になっている現在、筆者はあえて110円といった「びびる」上値ターゲットの提示に留めたい。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
■ユーロ/円、英ポンド/円は20円超の下げもあるとみる!
また、2014年に米ドル/円より深い調整を避けられないのはユーロ/円、英ポンド/円といった主要なクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で、両方とも現時点の水準から、20円超の下げ幅はあるのではないかとみる。
急落後、米ドル/円の底打ちと相俟って両クロス円が共に回復してくるといった見通しもできるが、高値更新は容易ではなかろう。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
換言すれば、私見ではユーロ/円と英ポンド/円、近々売り好機に恵まれると思う(もちろん、近々とはいえ、これが2014年春まで延びる可能性もあるので、ご注意)。
理屈は簡単だ。
ドルインデックス自体は上昇サイクルにあり、今はリスクオンの市場センチメントによって抑え込まれているものの、2014年前半に想定される波乱によってリスクオフの再燃があれば、売られすぎていた円と同じく、対ユーロ、対ポンドで売られすぎている米ドルは買われる運命にある。
ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルは2013年の上昇分をすべて帳消しにされ、さらに「おつりが出る」程度でないと反落波の進行が止まらない公算が高いから、ユーロ、英ポンドの対円での下落率は大きくなる恐れがある。
■豪ドルはちょっと異なる動きに…
主要通貨のうち、豪ドルはちょっと特別な存在で、前回指摘したように、目先売られすぎているため、いったん反騰の公算が高いが、リスクオフの市況になれば、やはり下落トレンドに復帰する公算は高い。
(出所:MetaQuotes Software社のメタトレーダー)
このあたりの話、また来年(2014年)に譲るが、要するに豪ドルはドルインデックスに組み込まれていない分、その値動きはユーロ、英ポンドといった主要外貨とは異なる部分があることに注意が必要だ。
やや粗い予想であったが、これをもって年内最後のコラムとなり、次回は2014年1月10日を予定している。
それでは、みなさん、よいお年を。
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