■ユーロ/円、英ポンド/円の本格的な反落はこれから
2013年末には、ユーロ/円が一時145.69円まで買われたが、明らかにオーバーボート(買われすぎ)であり、目先の反落は、まだ序の口にすぎないだろう。
日米金融政策の相違は米ドル/円のほうが先に織り込んでいるし、欧米金融政策の格差がこれからユーロ/米ドルのレートに反映される以上、ユーロ/円には、より大きな下落余地があるのではないか。昨年(2013年)の年末コラムにて指摘した20円超の反落余地は、もはや最小値幅ではないかと思う。
【参考記事】
●2014年春にイエレン・ショックの可能性!米ドル/円の上値目標は110円と控えめに(2013年12月27日、陳満咲杜)
(出所:米国FXCM)
事情がやや異なるが、英ポンド/円も基本的に同じ構造になりつつある。ECBほど明確な緩和姿勢ではないが、2013年年末まで続いた英ポンド高は、米サイドの政策転換をまだ織り込んでいない公算が大きい以上、今年(2014年)は修正される可能性が高い。
ゆえに、英ポンド/円が1月2日(木)に達成した174.83円の高値は明らかにオーバーした値動きで、本格的な反落はこれからであろう。
とはいえ、ここで一気に反落していくかどうかはやや難しい判断となる。
肝心の米ドル/円は、1月2日(木)に105.44円まで上昇し、筆者が提示していた105.50円-105.55円というメインターゲットにかなり近づいてきたが、本日(1月10日)の米雇用統計次第では、もう1回高値更新を果たす可能性も否めない。
ただし、仮に高値更新があっても上値限定といった判断は不変。先週こそ陰線引けしたものの、10月最後の週から年末まで続いた週足の9連続陽線は連続陽線引けの最大記録となっており、相場の過熱感を示唆している。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
高値更新があれば、むしろロング筋の手仕舞い好機とみなされるのではないか。これからの本格的な調整に備えるべきだ。
■今は無闇に上値を追うべきときではない
構造的には、本コラムでもたびたび指摘してきたように、史上最安値から足元まで、米ドル/円は5波構造をもって大きく切り返してきたが、現在はその最終段階、つまり第5波の頂点に位置するか、すでに頂点を超えたところにある。
長期スパンでは、円安のなお途上とはいえ、1回も本格的な調整なしで一直線に押し進むのは不可能だから、新年早々、反落のリスクを警戒したほうが無難であろう。
もちろん、105.50円-105.55円を超えて、107円台まで上昇余地を拓く可能性がまったくないわけでもない。為替相場はオーバーボート、あるいはオーバーシュートになりやすく、また修正するまで時間がかかるといった習性があるから、目先の上値余地は一段と拡大する可能性もある。
ただし、こういった限定されたリターンにどれだけリスクを負うべきかを考えずに、無闇に上値を追うべきではなかろう。2012年年末~2013年年初の相場と違い、現在はポスト・アベノミクスとも言える段階なので、リスクオンより、リスクオフの可能性をしっかり頭に置いておきたい。
■今後は米ドル/円と日経平均の関係に注目
この意味では、高い相関性を維持してきた米ドル/円と日経平均の関係に注目したい。
最近、両者の相関性、やや薄れているように見えるが、米ドル/円が日経平均を追随し、反落幅を拡大していくか、それとも日経平均が米ドル/円の値動きに接近し、もう1回高値更新を狙うかは見どころであり、興味深いテーマだ。
(出所:米国FXCM)
最後に、日経平均は大発会から大きく反落し、「馬尻下がり」の可能性を暗示しているようにみえる。米ドル/円と同様、日経平均は先駆けとなり、かつ過激にアベノミクスの効果を織り込み、また日銀の金融政策に過大な期待をかけてきた。その分、相場の春吹雪を覚悟したほうが良さそうだ。
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