トルコ中央銀行が政策金利を4.25%引き上げて12%に!
2014年1月28日(火)深夜(日本時間では1月29日(水)早朝)、トルコ中央銀行は緊急開催した金融政策会合において、政策金利を大幅に引き上げることを決定しました。
【トルコ中央銀行の政策金利】
1週間物レポレート:4.50%→10%(5.50%引き上げ)
翌日物貸出金利 :7.75%→12%(4.25%引き上げ)
翌日物借入金利 :3.50%→8%(4.50%引き上げ)
トルコの政策金利とされているものには上記3つがあるのですが、今回の政策金利引き上げ劇において、特にニュースなどで報道されているのは、翌日物貸出金利が12%に引き上げられたというもの。
それにしても、一気に4.25%の引き上げとはかなり大胆ですね…。トルコ中央銀行が、このような大胆な政策金利引き上げに踏み切った直接的な原因は、米QE縮小や中国経済の減速懸念がもたらした、ここ最近の「新興国通貨の急落」。
【参考記事】
●恐怖指数上昇!2日で13%暴落の通貨も。米ドル/円も日経平均も続落の余地十分(1月24日、陳満咲杜)
選挙を意識する大統領に配慮し、いったんは見送ったが…
1月21日(火)に行われたトルコ中央銀行の金融政策決定会合でも、マーケットからは政策金利の引き上げを望む声が多く聞かれたようですが、結果は見送り。政策金利は、据え置きとなりました。
2014年の春から夏にかけてトルコで地方選や大統領選を控えていることから、同国首相が経済成長にマイナス影響を与える可能性がある利上げに難色を示したことで、このような決定になったようです。
これを受けて、もちろんトルコリラの下落は止まらず、さらに下落が進行しました…。
(出所:CQG)
アルゼンチンペソの暴落が追い打ちをかけた
また、先週(1月20日~)後半には、新興国通貨の1つ、アルゼンチンペソが対米ドルにおいて、2日間で約13%も暴落。これは、他の新興国通貨にも波及し、ますます新興国通貨安が進む傾向に…。トルコリラも、例外ではありません。
(出所:CQG)
「1月21日(火)の政策金利引き上げ見送り」と「アルゼンチンペソ暴落の余波」などによって、いよいよ深刻な状況に陥りつつあったところ、トルコ中央銀行は、今回の政策金利の大幅引き上げに踏み切ったということになります。これを受けて、トルコリラはひとまず反発しているようですね。
(出所:CQG)
一般的に、あまりにも通貨安が進み過ぎると物価や経済の安定を損ない、インフレを引き起こしてしまうなどの可能性が懸念されます。一国の経済が不安定になるということは、もちろん他の国の経済にも影響を及ぼす懸念もありうるということです…。
これで新興国通貨の下落に歯止めはかかるのか
事実、ここ最近の新興国通貨安が一要因となって、マーケットはリスク回避寄りの動きが続いていましたね。
(出所:米国FXCM)
もともと、米QE縮小期待が高まりはじめた2013年の5月以降、新興国からの資金流出懸念からトルコリラやブラジルレアル、アルゼンチンペソなどは対米ドルで下落基調が続いています。
(出所:CQG)
【参考記事】
●ブラジルレアルなど新興国通貨が大荒れ!米ドル/円は9営業日で約6円の急落!(2013年6月13日、西原宏一)
今回のトルコ中央銀行の政策金利引き上げをきっかけに、新興国通貨の下落に歯止めはかかるのでしょうか?
2014年1月29日(水)の東京時間現在、マーケットでは、今回のトルコ中銀の政策金利引き上げは好感されているようで、株価、為替ともに、ややリスクオンに傾いている状況です。
(出所:株マップ.com)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
まだまだマーケットは、方向感なく不安定な状況が続くのでしょうか?それとも、そろそろ…? 引き続き、注目しましょう!
最後に、今回注目したトルコリラは、高金利通貨として人気を集める通貨の1つです。外貨預金などで取り扱う銀行などもあり、興味のある方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
FX会社でもトルコリラ/円の取引が可能な会社がいくつかありますので、興味のある方は以下のコンテンツをチェックしてくださいね。トルコリラのスワップ金利が高い順に並べたFX会社の一覧表を見ることができます。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:トルコリラが取引できるFX会社:スワップ金利の高い順
(2014年2月7日追記)
前述したとおり、大幅利上げ後に大きく進んだトルコリラ高ですが、翌日には大幅なトルコリラ安になるなど、荒っぽい相場展開となりました。
その後はまた、じりじりとトルコリラ高になってきています。利上げの効果がなくなってしまったわけではないようですね。
(出所:CQG)
(ザイFX!編集部・向井友代)
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