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MT4(メタトレーダー4)とは?

MT4のアップデートが一大事!? ユーザー
必見の「ビルド600(Build600)系問題」とは?

2014年02月20日(木)11:53公開 (2014年02月20日(木)11:53更新)
ザイFX!編集部

MT4をダウンロード&インストールする方法を紹介!デモ口座の開設方法もあわせて確認。

本記事公開後、メタトレーダー(MT4)の開発元であるMetaQuotes Software社から、2014年8月1日(金)以降、ビルド509など、ビルド600以前のバージョンはサポートを終了する予定との発表がありました。8月1日(金)以降はビルド509のメタトレーダー(MT4)は使えなくなる見込みです。ビルド600系へまだバージョンアップしていない方は、早めにバージョンアップすることをおすすめいたします(2014年6月17日、ザイFX!編集部)

■MT4のアップデートに混乱

 FXトレーダーの定番ツールであるメタトレーダー4(MT4)が2月3日(月)にバージョンアップした。本来なら喜ばしい話のはずだが、今回は混乱を招いている部分がある。

これまで使えていたカスタム・インディケーターやEA(MT4の自動売買プログラム)が一部、使えなくなってしまう事例が起きているからだ。

 いろいろとやっかいなMT4のバージョンアップ問題を確認していこう。

 まず、今回のバージョンアップにより、MT4のバージョンは「Build509」から「Build610」(2月20日時点)に上がっている。

 アップデートには特別な作業は本来なら必要なく、MT4を起動させたとき、自動的にアップデートがかかり、610になっているはずだ。ただし、この自動アップデートが作動せず、以前のバージョンのままの人も少なくない模様。

自分のMT4のバージョンは「ヘルプ」→「バージョン情報」で確認できる。「Build 610」と書かれていればアップデート済みだ。

MT4のバージョン確認画面

 ちなみに2月3日(月)のアップデート直後は「Build600」だったが、その後、細かな不具合の修正が行われ、「Build610」までマイナーバージョンアップが重ねられている。

 600番代であればほぼ同じなので、これ以降は600番代のバージョンを「ビルド600系」と呼んでいくことにしたい。

■ビルド600系に焦ってアップデートしないこと!!

 記事の途中でアップデートしてしまう人がいると困るので結論からいくと、自分のバージョンが500番代だったとしても、焦ってアップデートはしないこと。まだリリースされたばかりのビルド600系には不具合もあり、「しばらくビルド509のままにしておいたほうがいい」とアドバイスしている人が多い。

 ビルド600へのアップデートはいつでもできるが、一度アップデートしてしまうとダウングレードするのはやっかいなので、今使っているMT4がビルド509ならば、もう少し様子を見てからアップデートしたほうが無難だ。

■新バージョン「ビルド600系」では何が変わったのか

 今回のバージョンアップのおもな内容をまとめると、下表のとおりだ。

 他のトレーダーが配信する売買シグナルと自分の口座の売買を自動的に同期させる「シグナル機能の強化」や、インディケーターやEAを有償・無償でダウンロードできる「MT4マーケットとの連動性強化」などがおもな内容となっている。

 日本ではまだ、シグナル機能やMT4マーケットを利用している人は少ないだろうし、それ以外は細かな改善点なので、メリットを感じる人は多くないだろう。今のところ、目立つのはむしろ、赤枠で表示したデメリットだ。

■ビルド600系では一部のEA、インディケーターが動作しない

 今回のアップデートによる最大の変更点はプログラム言語の変更だ。これによりビルド509以前には使えていた一部のEAやインディケーターがうまく動作しなくなる可能性がある。

 「ビルド600系問題」の最大の問題点はここにあり、ビルド600系への対応を迫られたEA、インディケーター製作者からの悲鳴、嘆き、ブーイングも多く聞こえてきている。デメリットは小さくない。

 MT4を使う最大の理由は、世界中の人々が知恵を絞って制作してきた莫大な資産=EAやインディケーターが使えることではないだろうか。それがリセットされてしまえばもちろん、プログラムの信頼性が損なわれてしまうだけでも、MT4の魅力は剥落してしまう。

 特にEAを利用している人にとっては、おかしな動作をされたら一大事。ビルド600系でEAを稼働させるなら、ちゃんと対応しているかどうか、EA製作元への確認が必須だ。

■複雑なインディケーターもサクっと描画、動作が軽快に

 デメリットを先に書いたが、今回のアップデートで良くなった点もある。少し触ってみて感じるのは動作が非常に軽快になったこと。

特に複雑な計算を伴うインディケーターを同時に複数表示させるチャートを開くときなど、ビルド509では表示されるまで待たされてストレスになることがあった。

 しかし、ビルド600系以降では、複雑な定型チャートであっても驚くほど描画が早くなっている。触ってみないと気づきにくいが、大きな進化だろう。

 ただ、2月3日(月)にビルド600となって以降、2週間程度なのに幾度も変更が重ねられ、もうビルド610となっているように不具合が目立つのは事実。MT4の開発元であるメタクオーツ社の対応が落ち着くまで、できればビルド509のままでいたほうが安全だろう。

■EAやインディケーターファイルの収納場所も変更に

 また、ビルド600系ではファイルの収納場所も変更された。アップデートの際、これまで使っていたEAやインディケーター、定型チャートなどのファイルは自動的に新しい収納場所へとコピーされるが、新規に追加する場合は注意してほしい。

 ビルド600系になってから、MT4の「ファイル」メニューに「データフォルダを開く」というメニューが追加された。

 ビルド600系でEAやカスタム・インディケーター、定型チャートのファイルをインストールするときは、MT4の「ファイル」メニューから、この「データフォルダを開く」を選択する。

「データフォルダを開く」のメニュー

 そうすると自動的にエクスプローラーで<データフォルダ>が開くから、そのなかの適切な場所にファイルを移動させよう(※)。

(※編集部注:ザイFX!編集部が調べた限り、Windows XPの場合はビルド600系のMT4をインストールしても、<データフォルダ>の場所はビルド509のMT4と似たような感じの場所のようだった。ただし、Windows XPは2014年4月9日でマイクロソフトのサポートが終了する。Windows Vista、Windows 7、Windows 8の<データフォルダ>の場所は本文に書いたとおり

■新しいファイルの収納場所はココ

 <データフォルダ>内でのEA、カスタム・インディケーター、スクリプト、定型チャート、それぞれの収納場所は以下のとおりだ。


【EA】

ビルド600系 <データフォルダー>→「MQL4」→「Experts」

※ビルド509 「マイコンピューター」→「ローカル ディスク(C)」→「Program Files」→<MT4のフォルダー>→「experts」

【カスタム・インディケーター】

ビルド600系 <データフォルダー>→「MQL4」→「Indicators」

※ビルド509 「マイコンピューター」→「ローカル ディスク(C)」→「Program Files」→<MT4のフォルダー>→「experts」→「indicators」

【スクリプト】

ビルド600系 <データフォルダー>→「MQL4」→「Scripts」

※ビルド509 「マイコンピューター」→「ローカル ディスク(C)」→「Program Files」→<MT4のフォルダー>→「experts」→「scripts」

【定型チャート(Template)】

ビルド600系 <データフォルダー>→「templates」

※ビルド509 「マイコンピューター」→「ローカル ディスク(C)」→「Program Files」→<MT4のフォルダー>→「templates」


 ビルド600系で頻繁に使うことになる<データフォルダ>だが、これまでのようにMT4をインストールしたフォルダの中ではなく、「C:\Users\(ウィンドウズのログインユーザー名)\AppData\Roaming\MetaQuotes\Terminal\~~~」とかなりわかりにくい場所にある。

 以下の図のとおり、複数のMT4をインストールしていると、MT4ごとにフォルダが作られ、どのMT4がどのフォルダなのかが非常にわかりにくいので、ファイルメニューから「データフォルダを開く」を使うことが得策だ。

 なお、「ザイFX!×メタトレーダー(MT4)」の人気コーナー「MT4インディケーターバンク」では、これまでカスタム・インディケーターが簡単にインストールできるインストーラーを配布してきたが、上記のとおり、ビルド600系ではフォルダ構成が大幅に変更されてしまったため、これまで配布してきたインストーラーは使えない。

 対応策を目下、検討中のため、現在一時的に「MT4インディケーターバンク」の連載は休止している。

 さて、それでは、ビルド600系へのアップデートを避ける方法はあるのだろうか。

■アップデートを避けるには専門的な知識が必要

 さて、それでは、ビルド600系へのアップデートを避ける方法はあるのだろうか。

 あるにはあるのだが、コンピューターについてそれなりの専門知識が必要になり、残念ながら万人に薦められる方法は今のところ見当たらない。MT4を起動させると、自動的にアップデートされてしまうケースが多いことだろう。

【参考情報:筆者が自動アップデートを避けている方法】

 参考になるかわからないが、筆者の場合はMT4の自動アップデートがかかる前に「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが立ち上がるため、アップデートを避けられている。

 MT4を起動すると、「次のプログラムにこのコンピューターの変更を許可しますか」と尋ねるウィンドウが出るので、ここで「いいえ」を選ぶと、アップデートを避けてビルド509のまま、MT4が使えるのだ。

 ちなみに筆者は「管理者」ではないユーザーとしてWindows 7にログインしており、このため、「ユーザーアカウント制御」のウィンドウが立ち上がるのかもしれない。

 このウィンドウが立ち上がらず、強制的にアップデートがかかる人も多いようなので、以上はあくまでも参考程度の情報だ。もしも、このウィンドウが立ち上がって、ビルド509のままで使いたいのなら「いいえ」を選択しよう。

■ビルド600系をビルド509に戻すなど各種の対処法は?

【アップデートしたが、ビルド509に戻したい人】

 MT4の開発元であるメタクオーツ社が認めた公式なダウングレード方法はない。

 ただ、インターネットを検索すると、同じように困っている人のためにビルド509のファイルを配布している人もいる。

 そのファイルでビルド600系のファイルを上書きしてしまえばいいのだが、その場合は自己責任で。くれぐれも配布元の信頼性の確認、ウィルスのチェックなどを入念にやってほしい。また、EAやカスタム・インディケーター、定型チャートのファイルのバックアップも忘れずに。

【アップデートがかからない人】

 2月3日(月)以降にMT4を起動させると、本来ならば自動的にアップデートがかかるはずなのだが、少なからぬ人がアップデートされずにビルド509のまま使えているようだ。アップデートは以下の方法でいつでもできるから、むしろ幸運と考えて、当面そのまま使い続けるのが良さそうだ。

【アップデートがかからないけど、ビルド600系に移行したい人】

 自動アップデートがかからないときは、使っているFX会社のホームページから新たにMT4のインストーラーをダウンロードして、インストールし直すのが手っ取り早い。

 そのときは念のため、EAやカスタム・インディケーター、定型チャートのバックアップをとっておこう。

 また、ビルド509がインストールされているフォルダに、ビルド600系を「上書きインストール」する方法もあるようだ。

■ビルド509のファイル構成のまま使える「ポータブルモード」

 ビルド600系でもEAやインディケーターの収納場所を以前と同じようにしたいなら、ビルド509と同じファイル構成で使える、一時しのぎの方法がある。「ポータブルモード」だ。その手順は以下のとおり。

(1)MT4の実行ファイルである「terminal.exe」のショートカットを作る

(2)ショートカットのアイコンを右クリックしてプロパティを開き、「ショートカット」のタブを選択

(3)リンク先の末尾に「 /portable」(半角スペース・スラッシュ・portable)を加える

(4)「適用」をクリックして、プロパティウィンドウを閉じる

ポータブルモードにするためには…

  ビルド600系でも、このショートカットからMT4を開くことで、ビルド509と同じファイル構成でMT4が使える。ただ、このポータブルモードは過渡期的処置のようなので、あまりアテにしないほうが良さそうだ。

■誰のためのアップデートなのか?

 なんともやっかいなビルド600系問題だが、メタクオーツ社からの情報発信は少ないし、あっても英語だったりして、なかなか情報がとりにくい。

 そんななかで参考になりそうなのが、元為替ディーラーの山中康司さんがFOREX.com Japanで行なっているセミナー。次回、2月27日(木)のセミナーはビルド600系がテーマなのでご参考に。

 それにしても混乱が深まるばかりのビルド600系問題。いったい何のためのアップデートなのだろうか――。山中さんは「思うように普及が進まないメタトレーダー5(MT5)とMT4を融合させていくための足がかりとしてのアップデートなのでは…」と推測する。

 MT4の後継となるMT5はすでに発表されているが、プログラム言語の違いからあまり普及していない。

 「だったら、MT4をMT5に近づけちゃえ」とばかりに敢行したのが今回のアップデートなのかも。いずれにせよ、早く解決してほしいビルド600系問題だ。


 なお、本記事は現時点で判明している情報を可能な限り集め、実際に各種のPCを動かした上で作成しているが、各種のPCでMT4が必ずしも同じ動作をしないこともあった。ウィンドウズのバージョン、その他、環境の違いにより、そのようなことが起こっていると思われるが、詳細はよくわからない。

 また今後、MT4の新たなバージョンアップが行われることで、その動作が本記事の記述と変わってくる可能性もある。そのあたりはご了承ください。

(取材・文/ミドルマン・高城泰&ザイFX!編集部)

本記事公開後、メタトレーダー(MT4)の開発元であるMetaQuotes Software社から、2014年8月1日(金)以降、ビルド509など、ビルド600以前のバージョンはサポートを終了する予定との発表がありました。8月1日(金)以降はビルド509のメタトレーダー(MT4)は使えなくなる見込みです。ビルド600系へまだバージョンアップしていない方は、早めにバージョンアップすることをおすすめいたします(2014年6月17日、ザイFX!編集部)

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