■米国株高と日銀緩和期待によって日本株もミニバブル状態
米国の事情に疎いなら、日本株の話をすれば、納得してもらえるのではないだろうか。
2014年の年初来、株評論家の大半は、2014年の日経平均の最低水準を1万4000円前後と予想してきたから、彼らの判断が正しければ、今は押し目買いの好機となる。しかし、おそらくそう判断した彼ら自身、今は「躊躇なく」株を買えないのではないかとも推測できる。
評論と実戦の違い云々の問題ではなく、日本株の高値志向や円安期待を正当化してきたことが大きな問題だ
言ってみれば、皆がそろって強気になれたのは他ならぬ、外部環境(つまり、米国株高)と日銀緩和期待によってである。
特に後者の方は、日本株を支えるもっとも重要な要素であり、また日本株の高値を正当化する理由としていくら強調してもしすぎではないが、期待の剥落でその前提条件がなくなった以上、1万4000円の「底」割れも当然の成り行きだとみる。
(出所:米国FXCM)
■過大な期待は決まって裏切られる運命にある
もっとも、相場も人間も建前と本音がある。建前では脱デフレとか、成長や収益改善とか言うものの、本音はもっぱら緩和頼みであった。
だからこそ、日本株もミニバブルだった。なぜなら、評論家も投資家も緩和頼みの本音を隠したい一心で、企業収益やら成長やらと一生懸命、株を買う理由を探しているうちに、自分自身も納得してしまったからだ。
正当化とは自己陶酔であり、また自己慰安のプロセスだから、いくらでも正当な材料が見つかるわけだ。
さらに突っ込んで言うと、過大な期待は決まって裏切られる運命にあるから、筆者がたびたび指摘してきたように、日銀の黒田総裁の考えと市場の考えには、相当な差があることに十分気をつけなければならなかった。
「躊躇なく緩和」と言いながら、「今はその必要がない」と明言した黒田さんのスタンスにサプライズと感じた方こそ、自分の本音をごまかしてきたのではないか。つまり、自分の思惑を相場の前提条件に据え置いたところがいけなかったのだ。
■1万4000円が底というのが冗談に聞こえるようになるだろう
閑話休題、それでは日経平均続落の根拠、テクニカル上の示唆があっただろうか。前回のコラムにて提示したテクニカルの視点をもって、もう1回日経平均の週足を見てみよう。
(出所:米国FXCM)
上のチャートが示しているように、2013年5月高値から構築されてきた週足におけるRSIの大型弱気ダイバージェンスが、いつか効いてくることはわかっていた。
また、前回のコラムでお伝えしていたように、効いてくるかどうかはRSIが50のレベルを割り込むかどうかによって決定されるので、2014年1月末にRSIがすでに同水準を割り込んでおり、3月における2回の戻りがロング筋にとって絶好の逃げ場であったことが一目瞭然だ。
【参考記事】
●RSIのシグナルを見るとユーロ/円は最大8円ほど大きく下落する可能性あり!(2014年3月28日、陳満咲杜)
なぜなら、週足における大型弱気ダイバージェンスは、いったん効いてくると調整のスパンも大きくなり、1万4000円が底などというのは、冗談のように聞こえてくるであろうからだ。
日経平均の下値打診は、これからも続くと思う。株の話ばかりで申しわけないが、要するに株安とセットになった円高がこれからも続くということである。
■米ドル/円が100円を割れないという考え方はもろいだろう
では、肝心の米ドル/円はどうなるか、同じく週足をもって見てみよう。
(出所:米国FXCM)
もう説明が要らないほど、チャート上のシグナルは明白である。RSIが50レベルを割り込んでくれば、米ドル/円は100円どころではなくなるだろう。100円を割らないといった考えは、日経平均が1万4000円を割らないというのと同じく、もろいのではないかと思う。
となると、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)も、下値リスクを引き続き警戒せざるを得ない。また、想定よりクロス円の崩れ具合が緩やかであることには、わけがある。詳細はまた次回に。
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