昨日の欧州序盤では、ドル円は102円台のミドルアッパーで、ユーロドルは最近のレンジに固まったレベルである1.3600をはさんだところで始まった。ドル円が103円台まで乗せてくるのかに関心が集まり、ユーロドルの方は木曜日のECB会合まではレンジをはみ出さないだろうという見解が強かった。
しかし雇用統計を週末に控えた状況でのADPの雇用指数は、予想よりも大幅に悪かった。予想では就業者数が20万人台の増加が見込まれていたのに、17万人台にとどまった。これによってこれまでリスクテークでたまっていたポジションの調整が起こりかけたが、マーケットの流れを変えることのほどでもなかった。
ドル円もユーロドルも30ポイントほどはドル安に進んだが、グローベックスセッションでの米国株があまり大きく下げなかったからである。マーケット全体がそんなにリスク回避に向かっていないということを確認して、ドル売りの勢いもすぐになくなった。市場の関心はすでに翌日のユーロ金利の行方に移ってしまったということであろうか。
23時に出たISM非製造業の景況指数が予想を上回ったことで、ドル円もユーロドルもすべて元の水準まで戻ってきた。もうその後のニューヨーク市場ではほとんど動きはなし。ドル円もユーロドルも10ポイントくらいのレンジ。米ドルの長期金利は継続して上昇した。
さていよいよ今週の最大の注目イベントであるECBの金利会合である。すでに利下げの15ベーシスは完全にマーケットに織り込まれている。今さら何もしないでは済まされない状況だ。先月にドラギ総裁が「6月に行動」といったのが、額面通りに支配している格好だ。
あとは量的緩和に関することが、どの程度まで指摘されるのかである。国債購入の規模や時期など。そして数値目標はどうなのか。さらにはマイナス金利の実施に向けて何をするのかしないのかも重要となってくるだろう。
まずは20時45分の政策発表の時点での反応についていく。ユーロドルがここ最近の下値のサポートとなっている1.3580付近を下回ってくるようであれば、そのまま突っ込んででも売っていきたいところだ。反対に1.3650を越えてきて、続いてきたユーロ安の流れが反転の兆しを見せてくるようであれば、それはそれでユーロ買いでついていきたい。
そして21時半からのドラギ総裁の会見でもマーケットは反応するだろう。金融政策を今後はどのように運営していくのか。まだまだ景気のダウンサイドリスクを重視した政策運営を継続するのかどうかなど。これもある程度はユーロドルの値動きで判断せざるをえないであろう。ともかくもユーロショートがたまりきっているのが現状だ。ユーロが反転するとしたら、かなり大きな戻りを演じることになりそうだ。
日本時間 15時00分
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)