■FOMC議事録の内容は? 量的緩和10月終了が決定的に
昨日、7月9日(水)、6月17日(火)~18日(水)に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が公表されました。一番のポイントは、金融緩和の解除に向けた出口戦略の詳細について検討を始めたことが明らかになったことです。

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(出所:米国FXCM)
まず、今、量的緩和を毎月100億ドルずつ減らしていますが、そうすると、最後50億ドル残ってしまうので、それをどうするかということが議論されています。
50億ドルだけ残しても仕方がないということで、2014年10月に150億ドルまとめて減らして、ゼロにしてしまおうということになりました。
メンバーの見通しに、よほどの変更がない限り、これで事実上、量的緩和は、10月で終わることが決定的となりました。
■量的緩和終了後の金融政策はどうなるの?
次に10月の量的緩和を終えた後、金融政策をどうするかという問題が話し合われました。具体的に言うと、リバースレポ(※)と超過準備預金金利の双方を活用して、政策金利の上限と下限を定める方向で、大体一致したようです。
(※「リバースレポ」とは、債券を担保に資金の貸し出しを行う取引のこと)
この2つの金利差を現状の0.2%程度、またはそれ以上にすることで、市場のコントロールができると判断したようです。
もう1点、重要なポイントが話し合われました。それは、4兆2000億ドルにのぼる保有証券が満期を迎えたときに、その後の再投資についてどうするかということです。
これは、当面、再投資を続けていくのか、それとも利上げ開始の前に徐々に減らしていくのか、もう少し議論が必要なようです。ただ、一気に再投資を減らしていくことはなさそうだというとらえ方を、多くの市場関係者はしています。
■米ドル/円の上昇は、まだまだ先になりそう…
さて、そこでみなさんの関心は、これが市場にどう影響するかということだと思います。結論を申し上げれば、FOMCは市場を混乱させないということに、非常に注意を払っているように見えます。
幸い、消費者物価指数が前年比2%前後で比較的安定しているので、一気に金融の引き締めをする緊急性が、今のところないというのが救いになっているようです。
もし、今後、消費者物価指数が急上昇し、年率で2.5%を超えてくるようになると、少し状況が変わってくると思いますが、それまでは市場への影響はあまりないと考えておいて良いでしょう。
つまり、現在の米国の株高、長期金利低位安定は、まだ続くことになってくると考えています。そうなると、米ドルもあまり強くならないということになります。米ドル/円の上昇は、まだまだ先になりそうです。

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■英ポンドが強くなってきた! 米ドル/円は当面レンジ…
他の国の状況を見ても、それほどこれまでと変わった動きは、正直言って見受けられません。状況に変化がなければ、市場は反応のしようがないので、当然鈍い動きになってしまいます。
今のような、緩慢な市場は当面続くでしょう。
そういった状況のなかでも、やはり押さえておきたいのは、欧州、特に英国の景気が回復してきていることです。英国の2014年、第1四半期のGDPは、年率で3%のプラスとなっており、景気回復が確実に数字に表れてきています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
それを反映して、英ポンドは、主要通貨に対して強くなってきています。
ユーロ圏諸国も、英国ほどではありませんが、景気は底堅くなってきています。オセアニア諸国もこれまでお話してきたとおりです。
【参考記事】
●支持率低下の政権が必死で株価引上げ?オセアニア通貨買いをしつこいくらい推奨(7月3日、今井雅人)
したがって、前回コラムまでの見通しどおり、すなわち、米ドル/円はレンジ、欧州通貨は緩やかに上昇、オセアニア通貨は金利差を狙いながら中期的に買い、という方針を維持しておきたいと思います。
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