金曜日の欧州序盤では、ドル円は102.55あたり、ユーロドルは1.3375あたりであった。ユーロドルは下サイドに突っ込み切れず、短期的なサポートとなってしまっている1.3333という今年の最安値の近くまで行っては何度も押し戻されてしまっている。かといって上サイドもきれいにキャップされており、1.34台に乗せても、そこは売り場となってしまっている。
完全には戻しきれないのは、日足など長めのチャートで見れば、ユーロドルが依然としてダウントレンドの真っただ中にいるのだからということだろう。その上、欧州通貨VS米ドルという意味では同じの、ポンドドルの下げ基調もきつくなりつつある。これではユーロドルはまだ戻り売りで臨まないといけない状況の裏打ちにしかならない。
金曜日はアメリカの経済指標はたくさん出たが、種類が多すぎて何に反応していいか判然としなかった。かえってマーケットとしては動きにくい。総じて良くないものが並んだという印象だったが、先週からの地政学的リスクの薄まりを反映してか、欧州株も米国株も高値追いをしているので、リスクテークの動きは強まっている。米国株は先週来の高値をも越えてきて、なおも堅調。
まだまだ買っていけるぞという感じのリスク許容度の増大を感じさせたが、日付けが変わる少し前に急激に流れが変わった。後でニュースで調べると、ロシアの軍用車両がウクライナに侵入し、それが攻撃を受けたというのだ。また地政学的リスクに振らされることになった。リスク回避でドル円もユーロ円も下がり出した。私も手を出すのが遅かったが、それでも102.46から売っていった。いきなり株価急落や債券暴騰をしているのだから、何が起こっているのかは想像がついた。
しかしリスクの底打ちも存外に速かった。米国株は1時間もすれば戻しの態勢に入ったし、クロス円の代表みたいなものであるユーロ円の下げも限定的だった。私も早々に退散。そして翌朝、画面を見ると、米国株はその前日の終値近くまで完全に戻しきっている。ドル円は安いほうの水準で終了したが、なんとなくショートカバーを呼び込みそうな雰囲気ではある。
先週は世界的に債券価格の上昇が目立った。ドイツの10年ものの利回りは1.0%を割りこんできて、日本は0.5%を下回ってきた。米国債も2.3%まで低下し、これは1年以上ぶりのこと。これがたんなる質への逃避を意味するだけでは、あまりにも株価が高過ぎる。どちらかが間違っているとすれば通常は株価のほうが間違っていることが多いのだが、それを確かめにいくのが、今週のマーケットとなるだろう。
今晩は材料がほとんどなし。したがってマーケットはテクニカルに支配されることは多くなるだろう。ユーロドルのレンジの上限の端々ではきっちりと逆張りをして、レンジ取引に励みたいところだ。仮に端っこに到達しなくてポジションができなかったとしても、今日はちょっと遅れたお盆休みだと思えばよい。
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