ロシアが一気に6.5%も利上げして、政策金利17%に
ロシア中央銀行は12月16日(火)早朝、緊急利上げを行った。主要政策金利である1週間物入札レポ金利を10.5%から17%へ一気に6.5%も引き上げたのだ。これは急激に進んでいるロシアルーブル安に対応した通貨防衛策。
ロシア中銀は声明で「著しく高まっている通貨ルーブルの下落リスク、およびインフレリスクの抑制が決定の狙い」と説明している。
この利上げ幅はロシアがデフォルト(債務不履行)となった1998年以降で、もっとも大幅なものだ。
1日で約14%ものロシアルーブル安!
このところ、原油相場が大きく下落しているが、これにより、原油依存度の高いロシア経済への影響が懸念され、ロシアルーブルは大きく下落している。
(出所:CQG)
2014年の年初、米ドル/ロシアルーブル(USD/RUB)相場は1ドル=32.9ルーブル付近だったが、これがグングン上昇(米ドル高・ロシアルーブル安が進行)、12月15日(水)には一時、66.4ドルの高値をつけるまでになった。
ロシアルーブルは米ドルに対して、約1年で半値になってしまったということになる。
(出所:CQG)
特に12月15日(水)は1日で約14%ものロシアルーブル安に(※)。この直後に緊急大幅利上げが実施された。ロシア中銀の利上げは今年に入って6回目のこと。
(※記者がCQG社の米ドル/ロシアルーブル日足チャートを確認したところ、12月15日(水)の始値は58.236ルーブル、高値は66.430ルーブルだった。約14%のロシアルーブル安とはこの数字に基づいている)
大幅利上げを受けて、ロシアルーブルは激しく乱高下
この大幅利上げによって、ロシアルーブルは非常に激しく乱高下している。以下の米ドル/ロシアルーブル1時間足を見ると一目瞭然だ。
(出所:CQG)
実のところ、あまりにも乱高下が激しすぎるため、米ドル/ロシアルーブルの日足チャートを本記事に掲載することは断念した。その事情を説明すると、次のとおりだ。
大幅利上げの効果がいったんは出て、米ドル/ロシアルーブルの日足が大陰線になっている(米ドル安・ロシアルーブル高が進んでいる)チャートをキャプチャして、いったんは図版を作成しようとしていたのだが、あっという間に再びロシアルーブル安になり、ローソク足は下ヒゲが極度に長い形に…。
ところが、それをキャプチャして、再度図版を作成し直そうとしたところ、再びロシアルーブル高に反転してしまったのだ。そんなわけで、図版作成をとうとう投げ出してしまった。それぐらい、現在の米ドル/ロシアルーブルは激しい動きとなっている。任意の時点の中途半端な日足チャートを掲載すると、誤解を招く恐れがあるとも考えた。
★12月17日追記:結局その後、さらに大幅なロシアルーブル安が進行した。詳しくは以下の記事をご覧ください。
【参考記事】
●緊急利上げ後も約20%もロシアルーブル安が進行! その後は約11%反発と大荒れ!
98年のロシア危機ではドル/円が2日で14%以上も下落!
大幅利上げで通貨安が止まった例としては、2014年1月のトルコリラの例が思い浮かぶ。ただ、そのようなやり方がいつもうまくいくとは限らない。
【参考記事】
●トルコが政策金利を4.25%上げて12%に!暴落していたトルコリラが一転、急上昇!
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:トルコリラ/円が取引できるFX会社はここだ!「トルコリラ/円スワップ金利の高い順」
ロシアといえば、ロシアが最終的にはデフォルトした1998年のロシア危機がどうしても思い起こされる。このとき、デフォルト前のロシアはなんと150%の超高金利政策をとっていたという。
そして、ロシア危機の際はLTCM(ロングターム・キャピタル・マネージメント)などの大手ヘッジファンドが破綻。その余波で大変なリスクオフ相場となり、米ドル/円はたったの2日間で14円以上も下落するという恐ろしい値動きになった。
今回、それが再現されるというわけではないが、年末が近づき、市場の取引量が減っている中、さまざまな金融市場が荒っぽい値動きになってしまう可能性はあるだろう。一定の警戒感は持っていた方が良いのではないだろうか。
なお、ロシアルーブルが取引できるFX口座にはサクソバンクFX証券「スタンダード口座」、IG証券「ミニ取引」、IG証券「標準取引」、ゲインキャピタルジャパン「MetaTrader4」、アヴァトレードジャパン「メタトレーダー4」などがあるが、スプレッドはかなり広いようなので、その点には注意が必要だ。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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