■6.5%の緊急利上げ後も止まらなかったロシアルーブル安
昨日(12月16日)、当コーナーで急激なロシアルーブル安とロシアの政策金利が6.5%も一気に引き上げられた話題をお伝えしたが、ロシアルーブル安は結局、緊急利上げ後もさらに進んだ。利上げの効果は今一つなかったことになる。
【参考記事】
●【ロシア異変】1日で14%ものルーブル安! ロシアは政策金利を6.5%上げて17%に!
米ドル/ロシアルーブル(USD/RUB)のチャートで値動きを確認してみよう。チャートはCQG社のものを使用している。
CQG社のチャートによると、緊急利上げが発表された12月16日(火)の4本値は以下のとおりだった。
始値:65.592ルーブル
高値:78.668ルーブル
安値:58.376ルーブル
終値:69.684ルーブル
日足チャートで見ると、上下に長~いヒゲが出ている。
(出所:CQG)
緊急利上げ発表後、いったんは米ドル安・ロシアルーブル高方向に相場が動く場面もあったものの、昨日(12月16日)の記事でお伝えしたとおり、その際も相場は乱高下していた。
そして結局、その後、相場は米ドル高・ロシアルーブル安方向に急速に動き、ロシアルーブルは対米ドルで安値を更新することとなった。12月16日(火)の始値から見て、一時は実に約20%もルーブル安が進んだ計算になる。
ちなみにCQG社のチャートでは高値が78.668ルーブルとなっているが、一部報道では80ルーブル台をつけたという情報も流れた。
ロシアの銀行では、外貨への両替を一時的に停止しているところもあるという。また、米アップルはルーブル相場の変動が激しすぎるため、ロシアでのオンライン販売を停止したほどの混乱となっている。
■ロシアルーブルは最安値から約11%反発
ただ、日本時間の12月17日(水)正午現在、米ドル/ロシアルーブルは69.7ルーブル台で推移している。ロシアルーブルの最安値からは約11%もロシアルーブル高方向へ相場が戻したことになる。
果たして、ロシアルーブル安の動きはこれで打ち止めとなったのだろうか?
(出所:CQG)
■原油、株式、為替はそれぞれ微妙に異なる動き?
ロシアルーブル安騒動の震源地となった原油相場だが、12月16日(火)は安値を更新したあと、ちょっと反発する場面もあったものの、以下の日足チャートを見ると、まだ、下落トレンドが転換したようには見えない。
(出所:米国FXCM)
12月16日(火)のNYダウは一時、大きく上昇する場面もあったものの、結局は110ドル超も下落した。
一方、米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は大きく円高方向に動いたあと、12月16日(火)のNY時間中にいったんは底を打ったような動きとなっている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨 VS 円 1時間足)
為替相場、株式相場、商品相場はリスクオフ的な流れにあるものの、それぞれリスクオフ一辺倒とも言えない微妙な動きを見せているようにも思える。
原油安、ロシアルーブル安が大きく影響を及ぼしたリスクオフ相場は果たして、もう落ち着いたと言えるのかどうか、今後の相場に引き続き注目したい。
(ザイFX!編集部・井口稔)
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