■ギリシャ総選挙は反緊縮の急進左派連合(Syriza)が圧勝
2015年1月25日(日)、ギリシャの総選挙が実施され、事前の世論調査どおり、野党の急進左派連合(Syriza、シリザ)が、サマラス首相率いる与党、新民主主義党(ND)を破って勝利した。
【参考記事】
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これで、急進左派連合(Syriza)が第1党に躍り出ると同時に、政権交代が実現することになる。
今回の総選挙では、新民主主義党(ND)が進めてきた、緊縮財政路線の是非が争点となっていたが、「反緊縮財政」を掲げる急進左派連合(Syriza)が勝利したことで、国民が現政権の政策にノーを突きつけた形だ。
この結果について、みずほ証券・投資情報部のFXストラテジスト・由井謙二氏は、「急進左派連合(Syriza)がある程度の票を集めて、連立に向けた組閣を行うと見ていたが、単独過半数の議席に迫るほどの圧勝になるとは想定していなかった」と話している。
現時点(1月26日11時50分現在)では、急進左派連合(Syriza)が全300議席のうち、単独過半数の151議席にあと1議席にまで迫っている。
このままの勢いで単独過半数の議席を獲得すれば、急進左派連合(Syriza)単独での新政権が樹立される。
仮に単独過半数に届かなかった場合、急進左派連合(Syriza)は、3日以内に連立政権樹立のための相手を見つけることになるが、その場合の相手についても、すでに協議が固まっていると報じられており、反緊縮財政路線の新政権が樹立されることになりそうだ。
なお、急進左派連合(Syriza)のチプラス党首(ツィプラスと表記されることも)は、1月26日(月)に首相に就任し、28日(水)までには新政権を樹立させる見通し。
■ギリシャ総選挙の結果受け、週明けのユーロは急落
ギリシャ総選挙の結果を受けて、週明けの為替相場ではユーロが急落。先ほどの由井氏のコメントにもあるように、急進左派連合(Syriza)の勝利は想定どおりだったものの、同連合が単独過半数に迫るまでの勢いとなったことは市場では想定外だった模様。
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ユーロ/米ドルは下窓を開けて取引をスタートさせ、前週末の終値となる、1.12ドル台前半から、一時、1.11ドルの大台を割り込む場面も見られた。
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また、ユーロ/円も大きな下窓を開けて取引をスタート。前週末の終値となる132円台前半から、一時は130.10円近辺まで約2円も急落することとなった。
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そのほか、ユーロ/スイスフランは、1月15日(木)のスイスフラン暴落後、やや落ち着きを取り戻していたが、0.9800フラン近辺までユーロ安・スイスフラン高が進んでいる。
【参考記事】
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■今後は、ギリシャ新政権が強気に借金棒引きを要求も
今後の展開としては、市場関係者の間では、EU(欧州連合)が要求していた緊縮財政に反対する意向を掲げているギリシャ新政権が、EUやECB(欧州中央銀行)、そしてIMF(国際通貨基金)で構成されるトロイカに対し、ギリシャが借り入れている資金の棒引きを求める可能性が高いとの見方もある。
今のところ、国民の7割がユーロ残留を望んでいるとされることもあってか、急進左派連合(Syriza)のチプラス党首は「パートナーとの破壊的な衝突は回避する」と、ユーロ離脱について否定的な見解を述べている。
ただ、今回の圧勝により、ギリシャ新政権がトロイカに対し、反緊縮財政路線を掲げ、借り入れている資金の棒引きなどで強気な姿勢に出た場合、意見が対立することも想定される。
そうなった場合、再びギリシャのユーロ離脱リスクが浮上してくる可能性などもあることから、今後の展開を注意深く見守っていきたい。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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