昨日のアジア時間では、ドル円はおおむね119円台での推移が続いた。日銀の金利会合では何も反応せずで、夕方の黒田総裁の会見のときに少しばかりドル円が持ち上がったくらいである。黒田総裁が円相場のレベルについて、円安ではなくて円高局面の修正に過ぎないという見解を示したからだろう。金融政策それ自体には従前と何ら変わったことは話していない。
欧州時間ではギリシャ政府がこれまでの支援プログラムの6か月延長を要請するということで、市場には安心感が漂い、リスクテークモードとなった。ドル円も上昇し、昼間の高値も更新してきて119.40あたりまで上がってきた。確かにドル円は上がってきているが、見ているとスピードがいかにも遅い。とてもこれについていこうというほどの意欲がわか なかった。
それに比べるとアメリカの経済指標は久しぶりに悪いものが並んだ。原油価格の下落があるにしてもPPIは予想よりもかなり低めで出てしまったし、同時発表の住宅着工件数は予想を下回った。その後に出てくる指標も悪いものばかりで、ドル円は亜が渋ることとなった。それでも119円台はキープしているのだから、すごいといえばすごい。
この局面で私は何度かドル円のショートで勝負を挑んだが、すんなりと下げをエンジョイできるときは一度もなかった。時間をかけてやっと5ポイントとか。そういう我慢を強いられる値動きだった。
動き出したのはFOMCの議事録が出てからのようだ。ドル安が一気に進んだのだ。これまで警戒されていた海外要因の悪さなどが指摘され、メンバーは総じて早急な利上げには反対であるというトーンだった。これではドル金利の上昇期待は吹っ飛んでしまう。ドルの保有魅力の低下からドルは一気に売りこまれたものだろう。経済指標にもあまりひるまなかったドル円だったが、118円台の中盤まで押し込まれた。
今晩も経済指標がたくさん出る。それぞれ是々非々で対応するしかないが、昨日の利上げ期待の払しょくが続くかどうかが見どころである。ドル円でもユーロドルでもドルの戻り売りというスタンスで構えたいところ。ドル円のショートの損切りは、近いところで119円ちょうどでよいだろう。
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