■本日の値動きによって市場の温度が測れる
一方、イエメン内戦はかつて冷戦時代に多く発生した「代理戦争」のように、必ずしもイランとサウジアラビアの直接対決をもたらすとは限らない。少なくとも、今のところ警戒はすべきだが、たちまち直接衝突になるとも想定しにくいから、市場関係者はまずポジションを調整し、冷静になってから再度状況を判断してくるだろう。
したがって、本日(3月27日)も先週の週末(3月20日)と同様、市場関係者がどのようにポジションを処理するかによって、マーケットの温度が測れる。
中東情勢のさらなる悪化がない限り、筆者としては、昨日(3月26日)のマーケットの反応は一時的で、最近のトレンドに戻るのではないかと思う。換言すれば、米ドル全体の調整がまだ続く可能性を完全に排除できないとみる。
■米ドルを買い増しするか? 米ドル買いを手仕舞うか?
前述のように、米ドル高トレンド自体は継続されるが、スピード調整がいつ終わるかが目下の問題で、昨日(3月26日)の日足に反転のサインがあったなら、本日(3月27日)も反転が続かなければならない。
(出所:米国FXCM)
なぜなら、せっかく反転のサインを灯した上に、材料の性質もそれなりにリスクオフに傾いているから、本日反騰が続かないほうが「おかしい」からだ。ましてや週末になると、市場関係者の判断が一層重みを増してくる。
結局、2014年5月から始まった米ドル全面高のトレンドがかなり続いてきたぶん、米ドルのロング筋が圧倒的に多く、まだポジションを手仕舞いしていない勢力が多いはずだ。
その上、昨日(3月26日)のテクニカル上のサインを見て、新規の米ドルロング筋も参入しやすい雰囲気になっているから、本日(3月27日)、米ドル全体が続伸しなければ、逆の状況が暗示される。
それは他ならぬ、「米ドルのロングが過大になっており、何らかの材料でもって米ドルがちょっと反騰してくれば、市場関係者は米ドルの買い増しではなく、ロングポジションの処理に動く」ということだ。言い換えれば、現在は正念場であり、今の相場が試金石の役割を果たしている。
■米ドル/円の反落はもう終わった可能性も
筆者があえて、米ドル全体のスピード調整がまだ終わっていないと思うと言うのは、昨日(3月26日)の材料の特殊性のほか、最近、ドルインデックスが示したテクニカルサインによる示唆が大きいからだ。
FOMCの3月18日(水)、ドルインデックスは波乱を起こして大きな値幅を記録し、19日(木)の値幅を「はらみ」、また19日(木)の値幅が20日 (金)の値幅を「はらむ」形で、重なったはらみ線を形成していた。
18日(水)の安値を割り込んだところで下放れが確認され、昨日(3月26日)の安値でも下放れのターゲットは打診できずにいたが、昨日の材料がなかったら、もう打診できていたのでは…と思える節がある。
したがって、本日(3月27日)、大きく続伸できない限り、昨日(3月26日)の反転サインを過大評価すべきではなく、米ドル全体のスピード調整が早期完了したといった判断も性急かもしれない。
(出所:米国FXCM)
仮にこの見方が正しければ、ユーロ/米ドルももう少しリバウンドの余地が拡大し、それがユーロ/円の反騰につながって、さらに米ドル/円へ寄与してこよう。
米ドル/円は想定よりやや早めの押しとなっていたが、一時のリスクオフに反応した値動きに照らして考えると、なお許容範囲にあるのではないだろうか。
この視点では、米ドル/円の反落は近々完了する公算が高く、もしかしたら、昨日(3月26日)の安値をもって、すでに完了した可能性も念頭においておきたい。
■日銀の次の一手への連想も無視できない
ところで、本日(3月27日)の日本サイドの材料、すなわちCPI(消費者物価指数)の数字が出たので、この材料をもって米ドル/円の見通しを修正する可能性も出ている。
2月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)は7カ月連続で伸びが鈍化し、消費増税の影響を除くベースで初めて前年比ゼロ%に落ち込んだことが発表され、日銀の次の一手へ連想が及んでいるから、無視できない。
このあたりの話は、また次回。市況はいかに。
(PM3:00執筆)
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