(「社畜の妖精『にほんばっしー』に突撃(1) 全世界メディア初! 「中の人」が登場!?」から続く)
■「にほんばっしー」は、実はMADE IN CHINA!?
ところで、「にほんばっしー」は、ストレートにかわいいとは言えない感じがするユニークなデザインですが、この着ぐるみはどうやって制作されたんでしょうか?
「まずは、自分で原案となるイラストを描いて、インターネットでデザイナーを募集しました。できあがったデザインを送り、日本の工場に問い合わせましたが、当時は、『ふ●っしー』全盛期…。日本の工場では、ほぼ全部、制作を断られました」
何社くらい当たったんですか?
「19社聞いて、17社くらい断られましたね。2社だけ作れると言ってくれましたが、価格はなんと80万円! 高すぎるだろう…。ということで、中国のアリババドットコムに聞いたら、送料込みで2万5000円。これしかないと制作を依頼しました。
ただ、当時は中国デフォルト懸念が出ていたので、ちょっと怖いなーと思い、念のため3社に制作を頼んだんです。そしたら、3社ともちゃんと作ってくれて、同時に3体できあがりました(笑)」
では、今、「にほんばっしー」は3体あるんですか?
「7体です」
そんなあるんかい! と一瞬ツッコミたくなりましたが、Aさんいわく、いろんなバージョンの「にほんばっしー」を作ったけれど、往々にして品質が安定せず、着用できるものは少ないそう。かなり大きいので、めちゃくちゃ荷物になっているそうです。
■某プロダクションの目に留まり、活動開始! 副業OKなの?
「ふ●っしー」にヒントを得て生まれた「にほんばっしー」。中国企業に発注して無事、着ぐるみも完成したものの、はじめは小規模な活動に留まっていた様子。それが、あることをきっかけに…?
「ある時、僕の勤務先金融機関の株式イベントでヘッジファンドと企業を結びつける懇親会があり、そこに『にほんばっしー』が呼ばれたんです。そして、たまたまその場に居合わせた某プロダクションの社長の目にとまって…」
「以降、『にほんばっしー』として、各種イベントに参加したり、SNSを活用して情報発信したり、フォロワー獲得にチャレンジしたり、いろいろと試してみるようになりました」
本業の傍ら、「にほんばっしー」の活動もされているということですよね? 「にほんばっしー」は、かなり目立つ活動だと思いますが、勤務先的にはOKなんですか?
■「にほんばっしー」は、本社も公認の副業だった!
「ええ。勤務先にも、公式にセカンドビジネスとして認めてもらっています。弊社は副業が全面的に禁止されているわけではないんですが、『にほんばっしー』の場合、実態がフワフワし過ぎていて、本社の了承を得るのが大変でした。説明の仕方がわからなくて(笑)」
そりゃ、そうでしょうね…。
「僕は本業では、先ほどお伝えした情報配信のほか、CSR(※)の活動などもやっているんですが、『にほんばっしー』の活動も、CSRの一環とも言えなくはないかと!」
なるほど、以下の注釈を読んでいただくと、「にほんばっしー」の活動も、CSRの一環と言えなくはなさそう(?) かも。いずれにしても、勤務先的にもOKな活動ということですね。
(※「CSR」とは、企業の活動が社会に与える影響に責任を持ち、利益追求だけではなく、国や地域、各種団体など社会全体と強調し、さまざまなニーズに応えることで、企業と社会の相乗的な発展を目指す取り組みを指す)
■「中の人」って、実はいろいろとスゴイ経歴の持ち主でした
ここからは、ちょっと「中の人」こと、Aさんの人となりについてうかがっていきたいと思います。
Aさんネームでも、マーケット関連のレポートの執筆活動などはされていますか?
「ええ。本業でのマーケットレポートの執筆やイベントでの講師、あとは、外部の通信社で記事の寄稿をしています。そこでは、日本国債のコーナーで書いていますね。ただ、僕の本当の専門は、外国債券ですが」
やはり、「中の人」は、専門こそ外国債券ですが、その道のプロだったのですね。もっと深堀りして、経歴を聞いちゃいましょう!
「僕は、広島出身で役者を目指したくて大学入学を機に上京しました。俳優になるなら、日大(日本大学)演劇学科か青学(青山学院大学)だろうと生徒指導の先生に言われ、迷ったんです。両校の試験日が被ったので、結局、青学を選んで入学。
晴れて上京しましたが、表参道を歩くだけではスカウトされず…。結局、芸能人にはなれませんでした(笑)」
海外留学の経験もあるとか?
「ええ。大学院がアメリカです。初めて彼女ができたのが大学2年生の時だったんですが、その大好きな彼女の夢が大学院留学だったんです。で、僕も! と目指したら、結果、僕だけが受かったんです(笑)。
留学資金は、ライブドアで契約社員として働いたり、ロータリー財団の奨学金をもらって工面しました。そして、アメリカのMBAに行ったんです。渡米期間は、2年ちょっとでした」
夢だと語っていた彼女ではなく、Aさんだけが大学院留学を実現してしまうなんて! ですが、この2年間の留学は、Aさんのその後のキャリア形成に、大きな影響を与えたようです。
■某外資系証券会社へ就職! ファーストキャリアは?
「大学院留学で、借金が大変なことになっていたので、帰国後、給料が一番高い仕事を探していたら、投資銀行が出てきました。いろいろ受けましたが、軒並み落ちてしまいました…。でも、就職活動する中で、某外資系証券会社の債券部の募集に出会ったんです」
で、そのままその会社に?
「ええ。その会社で外債トレーダーとして、この業界のキャリアをスタートさせました。2006年、24歳の時です」
2015年5月現在、33歳のAさんは、金融業界のキャリアは、おおむね10年ということになります。現在の勤務先へ移ったのは、いつ頃なのでしょうか?
金融業界でのキャリアは、おおむね10年。ファーストキャリアは、某外資系証券会社の外債トレーダーとのこと
「4年半外債トレーダーをしていました。が、入社後しばらくしてリーマンショック(※)が起きたんです。当時僕が勤めていた某外資系証券会社が次のリーマンになるんじゃないか? と言われていた時期があり、日本の大手証券会社とその会社が合併することになりました。
そんな流れのなかで、現在の勤務先に転職。これが、2009年の終わり頃のことです。で、2011年に例のネタが始まりました」
(※「リーマンショック」とは、2008年9月に米リーマン・ブラザーズが経営破綻したことをきっかけにはじまった世界的な金融危機のこと)
入社して1年後には、例のネタが始まったってことですか?
「YES!」
■社畜飯の深い理由! 無類のショートスリーパー!?
ところで、「にほんばっしー」のツイッターには、時々、社畜飯の写真がアップロードされますが、実際どんなレベルの社畜なのでしょうか? 「にほんばっしー」、いやAさんの1日を教えてください。
「起床が午前3時で、午前3時半には出社しています。外国債券はマーケットが23時間開いているので、出社してすぐにニューヨークやロンドンとやりとりし、レポートを書きます。担当顧客向けにコミュニケーションを取るのが午前7時から午後7、8時くらいまでですね。
その後、僕は、営業部門に所属しているので、接待が入ります。だいたい午前0時~午前1時に終了しますので、帰宅して1、2時間寝て、の繰り返しです」
…マジで?
「ええ。無類のショートスリーパーと言われています(笑)。今回の米雇用統計発表は、45分睡眠で迎えましたので、もう感極まりそうでした」
「実は、あの社畜飯にも理由があり、あれ以上食べると眠くなってしまうんです」
投稿写真を拝見する限り、いつもヨーグルトとか野菜ジュース、お味噌汁やサラダ、以上…みたいな感じですよね?
「そうです。炭水化物をお腹に入れると、もう瞼が開かないので。眠くならないように、食べることもそこそこに、ひたすらしゃべり続けます」
(「金融社畜の妖精「にほんばっしー」に突撃(3) スカイマーク株で着ぐるみ1個分の損失!?」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・向井友代 撮影/和田佳久)
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