■ミセス・ワタナベは往復ビンタを食わされた結果に!
ちなみに、くりっく365の統計を見る限り、ミセス・ワタナベは122円の節目がらみで逆張りして、踏み上げられたあと、やっと大幅に米ドルロングに転じていたが、そこを今度は「黒田ショック」にやられ、往復ビンタを食わされた結果となっている。これにより、目先、取引意欲の低下も推測される。
【参考記事】
●上放れ後の逆張りは無謀。ドル/円で踏み上げられて、血祭りとなったミセスワタナベ(2015年5月29日、陳満咲杜)
【ミセス・ワタナベに関する参考記事】
●「ミセス・ワタナベ」のルーツを探れ(1) 実は90年代半ばに英国で生まれた言葉?
(出所:米国FXCM)
■米ドル/円は身軽になったからこそ、もう1回上値を試すか
ところで、仮に黒田さんの発言が当局の真意(円安牽制)であっても、経験上、マーケットには「レッドライン」を1回試しにいくといった習性があるから、米ドル/円がなかなかしぶとくブルトレンドに留まる可能性は大きい。
前述のように、身軽になったからこそ、ベアトレンドへ早期復帰するよりも、もう1回上値を試してから相場の節目を探る可能性が大きいと思う。ドルインデックスの軟調は、クロス円経由の円安圧力を維持する意味合いにおいてもプラス要素であり、米ドル/円は当面安値圏での変動に留まるものの、地合いの改善が徐々に図れる公算だ。
その上、本格的なリスク回避パターンにならない限り、円安トレンドが修正されると考えるのは早計、といった視点では株式市場の動向が重要であろう。
米ドル/円は株のパフォーマンス次第という見方も多いから、株式市場の動向も見てみたい。
昨日(6月18日)、米ナスダック指数は一時、史上最高値を更新した。このことに照らして考えると、株式市場の「バブル」はたちまち崩壊するかというと、そうでもなさそうだ。むしろ、「バブル」が膨らむにつれ、米ドル/円がもう1回高値をトライする余地が暗示されているのではないだろうか。
■英ポンド/円は「英ポンドバブル」の様相を呈している
ところで、米ドル/円の高値更新があっても、クロス円全般がさらに大幅に上値余地を拡大するとは限らない。そのポイントは、やはり外貨自体のリバウンドがさらに続くかどうかにある。
一番強い英ポンドでさえ、米国に続き一番早く利上げ周期に入るといった思惑で買われている以上、米利上げ時期が不透明になってくれば、英国の早期利上げ予測も後退しよう。
また、米利上げが現実になってくれば、米ドルの再上昇が先決となり、目先の英ポンドの「過大評価」も見直されるだろう。英ポンド/円に至っては、にわかに「英ポンドバブル」の様相を呈しているため、上値余地については慎重に判断したい。
■ユーロは近々売りの好機到来か
ユーロサイドでは、ギリシャ問題の二転三転があっても、ユーロが割と強く、これが米ドル全般の軟調を一層浮き彫りにさせていた。あるいは、ギリシャ問題はなんとかなると、マーケットが予想しているのかもしれない。
また、ギリシャのEU(欧州連合)離脱があっても、最悪の事態を回避できるのでは…とマーケットが楽観視していることも示唆されているが、いずれにしても、目先の楽観ムードを確信すべきではなかろう。
ギリシャ問題については、解決策があっても問題の先送りにすぎず、EU圏の構造的問題が残る以上、危機はくすぶる。
目先、なおいくぶん切返しの余地はあるものの、ユーロがブルトレンドへ転換するといった発想は現実的ではなく、近々再度頭打ちして、ベアトレンドへ復帰しよう。
(出所:米国FXCM)
この意味では、近々ユーロ売りの好機に恵まれると思う。市況はいかに。
(14:30執筆)
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