■ギリシャ支援はまた合意ならず、週明けはユーロ安・円高に
ギリシャ支援協議はまたしても合意に至らず…。
2015年7月11日(土)に開催されたユーロ圏財務相会合および12日(日)に開催されたユーロ圏首脳会合では、ギリシャ政府から提出された新たな改革案について協議されたが、ここでも結論は出ず、またしても支援合意は持ち越しとなった。
今回は合意に至るという期待が事前に高まって、前週後半のユーロは上昇していた。この期待がまたも裏切られたわけで、これを受けた、週明けのユーロ相場が注目されたが、ユーロはやや売られたという程度だった。
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それよりも、ちょっと目立ったのはリスク回避の円買いと見られる動き。米ドル/円、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は下窓を開けて、今週の取引が始まった。
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とはいえ、株式市場では、日経平均が1%以上のプラス圏で推移。
(出所:株マップ.com)
金融市場の反応はまちまちなものとなっている。
■ユーロはやや売りが優勢で、下窓を開けて取引開始
ユーロ/米ドルについて見てみると、先週末(7月10日)は、1.11ドル台半ばで取引を終えていたが、週末のユーロ圏財務相会合や首脳会合の結果を受けて、週明けの為替市場では下窓を開け、一時、1.1110ドル台まで小幅に下落した。
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ユーロ/円も下窓を開け、先週末の終値、136円台後半から一時、133.10円台まで下落したものの、下値は限定的なものに留まっている。
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■EU側と対決姿勢を崩さなかったチプラス首相
では、ここで、これまでのギリシャ問題の流れを簡単に整理しておきたい。
ギリシャのチプラス首相は、6月27日(金)のユーロ圏財務相会合で、ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領などへの根回しもせずに、7月5日(日)に国民投票の実施を発表。
【参考記事】
●Xデーは7月5日!異例のギリシャ国民投票でユーロ大荒れ! 英米の利上げも遠のくか(6月30日、西原宏一&松崎美子)
その国民投票は、EU(欧州連合)側が求めた緊縮財政策に対して「反対」という結果となり、チプラス首相はEU側との対決姿勢を鮮明にしていた。詳しくは以下の参考記事をご覧いただきたい。
【参考記事】
●土曜日の会合でギリシャ支援延長ならず! ギリシャ破綻なら、ユーロ相場はどう動く?
●ギリシャが資本規制導入、銀行は休業! 週明けの為替はユーロ全面安+円全面高!
●ギリシャ国民投票は驚きの「ノー」! 危機的状況だが、ユーロ下落も案外平穏?
■ギリシャ政府の改革案に対し、EU側は法制化を要求
そんな中、ギリシャ政府は、7月10日(金)に新たな改革案をギリシャ議会で承認し、ユーロ圏財務相会合に臨んでいたが、新たな支援協議を開始するためには、7月15日(水)までに改革案を法制化することを求められた。
その後に開催されたユーロ圏首脳会合では、ドイツのメルケル首相が「もっとも重要である信頼が失われてしまった」と発言するなど、ギリシャに対して強硬姿勢を崩さず、今週(7月13日~)中に、ギリシャが改革案の法制化を終えることを求めて閉幕した。
なお、強硬姿勢を崩さないドイツからは、ギリシャを一時、ユーロ圏から離脱させる案が提示されたというが、EU条約違反との理由から、ユーロ圏首脳会合では採用が見送られたようだ。
ちなみに、今回、ギリシャ政府が提出したという新たな改革案だが、国民投票で緊縮財政策に「ノー」を突きつけたわりには、EU側が以前提案していたものと似ていると報じられている。
■ECB保有のギリシャ国債償還まで残り時間はわずか…
ギリシャ政府が何を考えているのかよくわからないし、本当に改革を進めていけるのかといった不透明感もある中で、EU側からは改革案の法制化というさらに厳しい条件が突きつけられたようだ。
今回の改革案の法制化では、VAT(付加価値税)の引き上げ、年金減額、財政目標を達成できなかった場合の自動的な歳出削減などが求められている。
ギリシャ支援に向けて、話が進展しているのか、していないのかよくわからない部分もあるが、タイムリミットとされる、7月20日(月)のECB(欧州中央銀行)が保有するギリシャ国債の償還期限まで残された時間は少ない。
果たして、ギリシャは支援を得ることができるのか、それとも協議が決裂してユーロ圏離脱となってしまうのだろうか。引き続き予断を許さない状況が続きそうだ。
なお、ギリシャ問題で、このところ、毎週月曜日の早朝に動くことが多い為替相場だが、週明けの月曜日、午前3~4時から取引できるFX会社や、早朝にスプレッドが広がりにくいFX会社の記事を以前公開しているので、こちらもご参考に。
【参考記事】
●月曜日の窓埋めトレードを狙ってひと儲け! 午前3時からトレードすればニ度オイシイ…!?
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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