■ギリシャ支援協議決裂で週明けのユーロは急落!
ギリシャ問題がさらに緊迫度を増している。
2015年6月27日(土)に行われたユーロ圏財務相会合では、ギリシャ支援の延長について合意には至らなかった。
【参考記事】
●土曜日の会合でギリシャ支援延長ならず! ギリシャ破綻なら、ユーロ相場はどう動く?
6月30日(火)に迫る、IMF(国際通貨基金)への債務返済が極めて厳しくなる中、ギリシャは資本規制を導入。6月29日(月)のギリシャの銀行はすべて休業という事態に陥った。これを受けて、週明けの為替市場ではユーロが急落している。
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■ギリシャは資本規制を導入。月曜日は銀行が休業に
6月27日(土)のユーロ圏財務相会合で支援協議が決裂したことで窮地に立たされたギリシャだが、28日(日)には、ECB(欧州中央銀行)が、ELA(ギリシャ向け緊急流動性支援)の増額見送りを決定した。
ギリシャとしては銀行の資金繰りを支える、ECBのELA増額を期待していたわけだが、今回のECBの決定はまさに泣きっ面に蜂となってしまった格好だ。
週末のギリシャ各地では預金を引き出そうと、ATMに長い行列ができたが、ECBによるELA増額が期待できない中、こうした状況が続くと、最終的には銀行の資金が枯渇して、破綻という最悪のシナリオも想定される。
そんな中、チプラス首相は、6月29日(月)の銀行の休業ならびにアテネ証券取引所の休場を発表。30日(火)以降はATMの利用は可能だが、資本規制の導入により、1日の預金引き出し額上限が60ユーロ(1ユーロ=134円換算で8040円)に制限されることになった。なお、銀行の窓口業務などは7月6日(月)まで休業となるようだ。
これは、国内からの資金流出と金融機関の破綻を防ぐ狙いがあると思われる。
チプラス首相は、7月5日(日)に財政緊縮の是非を問う国民投票を実施するとしているが、デフォルトまで待ったなしの中で、置かれている状況は極めて厳しい…。
■ユーロ全面安+円全面高でユーロ/円は4円強も急落!
ここからは、ギリシャ報道を受けた為替相場の動きを見ていこう。
ユーロ/米ドルは、先週末(6月26日)は、1.11ドル台後半で取引を終えていたが、週末のユーロ圏財務相会合の結果を受けて、週明けの為替市場では、大きく窓を開け、一時、1.0950ドル近辺まで急落した。
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ユーロ/円は大きな下窓を開け、一時、133.70円台まで、先週末の終値、138円台前半から、4円強も急落した。このほか主要通貨に対してユーロは下落し、ユーロ全面安となっている。
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一方、このような流れの中、リスク回避主導で買われたのは円。米ドル/円は、一時、122円の大台割れに迫ったほか、英ポンド/円は先週末に取引を終えた195円近辺から、一気に191.30円台まで急落する場面が見られた。円全面高の展開となっている。
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また、週明け、29日(月)の東京市場では、日経平均が、一時、500円超の暴落となった。
(出所:株マップ.com)
こうして見てみると、週末のギリシャ関連の報道を受けて、週明けの為替市場では、リスク回避による「ユーロ安・円高・株安」が進んだ格好だ。
ギリシャ支援協議については、フランスやドイツなどは引き続きギリシャと交渉の余地があるとしている。6月30日(火)まで少ないながらも時間はあるので、この土壇場から一気に事態が好転する可能性もゼロではない。
ただ、楽観視できるような生ぬるい状況でもないと思われるので、事態の進展を見守りながら、ギリシャのデフォルトの可能性をはじめ、さまざまなパターンを想定しておく必要がありそう。資金管理はしっかりしておいたほうが良さそうだ。
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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