先週は株価の動きは比較的に狭いレンジ内にとどまった。ギリシャ問題と中国株の下落が一服してきたからであろう。リスク相場に懸念がなくなったのかと思いきや、今度は原油価格の下落が目立ってきた。これは間接的な影響ではあるが、イランの核協議の合意も大きい。イランは経済制裁で生産原油の古輸出はできない状況に陥っていた。
それが今後は市場にあふれ出るという心配が持ち上がってきても不思議はないのだ。原油価格のスリップはリスク許容度の減退を加速させる。つまりリスク回避を促すというわけだ。これは2005年の50ドル突破から10年かけてやってきたことの裏返しの相場展開が訪れるかもしれないことを意味する。
金曜日の欧州序盤ではドル円は123円台の後半。ユーロドルは1.09台の後半であった。米企業の決算も大どころは一巡して、注目材料が少なくなっている。今週はFOMCや米GDPなど、大きな経済イベントは翌週に集まっているので、特に動きづらい状況となっている。そして海外市場でも為替相場は小さい動きのまま。ユーロドルは終日1.09台を脱しきれなかった。ドル円も30ポイントほどしか動かなかった。
そういうわけで今週の注目点はFOMCとGDPである。FOMCではあまりドラスティックな声明文の変更は望めないが、利上げのタイミングと利上げのペースの兼ね合いをどうとらえているのかを見ないといけない。まあ、FRBの立場としては9月に利上げをしておいたほうが、今後の利上げの平均ペースが緩くなるので選好したいところであろう。
そもそもいつまでも「材料がそろうのを待ってから」といっているわけにもいかないだろうし。問題は7月になってから目立ってきた原油価格の下げによるインフレ率の低下だ。これをどのように見ているのか。従来通り、一時的なものとして対処するのかどうか。構造的なものととらえれば、今後の利上げはしにくくなるところだ。
そしてGDPはより重要である。前回の四半期がマイナス成長だったので、ここではしっかりとプラス成長を確認したいところである。それもプラスの3%台が望ましい。このデータが9月利上げがあるのかどうかを決定するといっても過言ではないかもしれない。
今晩は耐久財受注しか経済指標はないが、ウオッチすべきは下げ過程にある原油価格と金曜日に大幅下落した米国株であろう。どちらもリスクオフ要因。ドル円が123円台の後半でステイしているのが不思議なくらいだ。今年の値幅を考えると、123円台から124円台というのは、高いほうのゾーンに位置するのだから。
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