昨日の欧州序盤では、ドル円は124円台の前半。これは先月末から騒いできたギリシャ問題があってからのもっとも高い水準である。そしてユーロドルは1.09台の中盤。今週に入ってから、めっきりと1.09台を中心にした動きに徹している。ここ3か月のレンジである1.05台から1.15台までのちょうど真ん中でステイしているといった感じである。よって中期的には日本円が最も安いレベルで止まっているということになる。
そして昨日の注目はアメリカのGDPである。これは3か月に1回しか作成されない数字なので、もしもFRBによる9月利上げの判断材料にされるのならば、これが最後のデータとなる。雇用統計の場合はまだ2回もあるから、今回の結果が決定打になるには至らない。
GDPというのは生産活動の足し合わせである。内訳で大きなものは個人消費、設備投資、政府支出、そして外需の4つである。個人消費は60~70%を占めるので重要ではあるが、人間は食べないといけないので大きく変動する要因にはなりにくい。コントロールできるのは政府支出であるが、公共事業についてやかましく言われている昨今では財政支出を大きく伸ばすことは難しい。
そこで企業の設備投資を促す政策が歓迎されるわけで、これは短期的にも答えが出やすく、役所の取る行動は躍起になる。外需を呼び込もうという姿勢は、オリンピック誘致を始め、最近の日本では顕著であるから明らか。
GDPがなぜ大事かというと、政治を変える力を持っているからである。昨年の日本の消費増税が延期されたのも、GDPが振るわなかったからである。アメリカでは利上げ時期を模索している最中なので、ますますGDPのありようが注目されるところなのである。逆にいうと、GDPよりも参考にする重要データはないといっても過言ではない。
そのGDPだったのだが、結果は予想を下回ったが、マーケットのほうはあまり大きくは動かなかった。ちょっと拍子はずれである。期待していた分だけ、9月利上げがあるのかないのかくらいの結果がわかりそうな反応を示せばよいものを、ほとんど動かなかった。為替相場もデータ発表の直後には20-30ポイントのチョッピーな上下動はあるのはあったものの、相場そのものの水準訂正を迫るほどではない。実に面白くない状況となって、それが朝まで続いた。
そういうわけで大きなイベントは終わった。材料は薄い。ちょっと動きづらい一日となりそうだ。ドル円、ユーロドルともに前日の高値と安値の間におさまる可能性が高い。しかるにレンジの両端で逆張りで攻めるのが効果的なのかも。
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