最近はすっかり為替相場も動かなくなった。ドル円はいつ見ても、124円ちょうどを挟んだ水準で、ユーロドルは1.09台ばっかりだ。10ポイントほども動くのにも、たいへんのように見える。でも動かないからといって、その分だけポジション量を膨らませればよいかというと、そうでもない。やはりマーケットにはいろいろな懸念がくすぶっており、いつ動き出すかしれたものではないからだ。
とくに週末からわかっていたことは、第一に中国の景況指数が良くなかったこと。そしてプエルトリコの財政破たんの問題だ。週明けのマーケットは大きくリスクオフに傾くのかと思われた。しかし値動きは乏しかった。アジア時間ではパニックには陥らずに、ドル円もユーロドルも20ポイントほどの狭いレンジに徹した。
ドル円は124円ちょうどを挟んだところから脱しきれないというならば、124.10アッパーで売り、123.90以下で買いを繰り返せばよさそうなものだ。私もそれに向けて何度かポジションメークはしてみたものの、マーケットの動きが鈍すぎてまったく面白くない。ほぼ同値でやめてしまうことが2度ほど続いた。
マーケットのイベントが週の後半に集まっているので、どうしても動意に欠けてしまう。結局はニューヨーク時間を通じても動きはなし。どちらかというとドル買い優勢だったが、これは原油安の反動であろう。原油価格が45ドル台まで下がってきており、これは今年3月につけた安値である42ドル台に急接近するものだ。
原油価格はここを下割れするとリーマンショックのときに落ち込んだ33ドル台まで下値のメドはない。一段安の恐怖があるのだ。そして原油というのはリスク性の高い金融商品だ。だから原油価格の値下がりはモロにマーケットのリスク許容度を低下させる。それは株価の下落を導き、為替相場では日本円の独歩高をももたらすことになる。
昨日はドル金利の低下が顕著になったが、それによるドル安の効果はまったく無視された格好だった。むしろここでは金利低下よりも、戦略物資である石油価格の動向のほうが重要なのは言うまでもない。
さて今晩も材料が少ない。昨日と同じで原油価格の動向に注目が集まる一日となろう。昨日の相場展開を見てもわかる通り、為替相場がどこまでフォローするのかはわからない。まったく無関係を装って、値幅は依然として狭いままかもしれない。しかしながらリスク回避の方向で注意を払わねばいけない局面だ。
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