果たして、米国は利上げに踏み切るのかどうか?
9月16日(水)~17日(木)と行われるFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果を、全世界の市場参加者が固唾をのんで見守っています。
そこで、今回は連載コラム「FX一刀両断!」でおなじみの松田哲さんに「米国の利上げ開始が意味するもの」について、緊急にご寄稿いただきました(ザイFX!編集部)。
■米FOMCを控えて為替相場がこう着状態に!
ここにきて、外国為替相場は、こう着状態に見える。致し方がないとも言えそうだ。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
今週、2015年9月16日(水)、17日(木)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えてマーケット(市場参加者)は、「米国が利上げを開始するか、否か?」の結果を待っている状態だ。
マーケットの観測では、「今月(9月)の利上げは見送りになる」といった意見が主流のようだ。
しかし、「今月(9月)の利上げ開始」を見込む向きも、引き続き多い。いずれにせよ、上述の答えは今週17日(木)に発表になる。
金融政策は、株価対策ではないので、利上げの条件が揃ったのだから、米国は利上げを開始するべきだ(それが金融政策を担当する人たちの本来の使命である)と、個人的には考えている。
【参考記事】
●利上げの条件が出揃った米国は利上げすべき! その後の米ドル/円はどうなる?(9月9日、松田 哲)
■利上げするなら、さっさと結論を出した方が良いのでは?
そして、仮に、「今月(9月)の利上げ開始」が見送られたにしても、10月開始説や12月開始説が多数派を占めている。
そうなると、FOMCのたびにこういった思惑による値動きが起こる。かえって、マーケットが不安定になることを危惧する。
やるのならば(利上げを開始するのならば)、さっさと結果(結論)を出した方が、マーケットの不確定要因をひとつ減らすことになり、市場の安定化に寄与するのではないか? などと考えてしまう。
それは、個人的な思惑を含んでいるので、我田引水だろうか…?
■利上げは、1回ではない。複数回の利上げを想定
今週のFOMCを直前に控えて、思うことが1つある。
9月に利上げを開始しようと、12月に利上げを開始しようと、どちらでも同じことなのだが、「利上げの開始」という意味についてだ。
「利上げ」を開始するのだから、その「利上げ」は、「1回だけではない」ということ。つまり、「複数回の利上げ」が想定されているということだ。
上のグラフは現在の米国の政策金利であるFFレート(フェデラル・ファンド金利)の長期的な推移を示したもの。FFレートは一度、上昇し始めるとしばらく上昇を続けていることがわかる。なお、これはFFレートの誘導目標ではなく、実効レート(実際に市場でついた金利)のグラフ。
(出所:FRBのデータを元にザイFX!編集部が作成)
もちろん、マーケット(市場参加者)は、目先の値動きや目先の発表に注目するので、発表直後のマーケットでは、3カ月先や半年先のさらなる「利上げ」が相場を動かすテーマにはならないだろう。
しかし、目先の相場の上下動に落ち着きが出てくれば、「目先の利上げ」というテーマが終わり、その利上げから3カ月先や半年先のさらなる「利上げ」がマーケットの新たなテーマになる。
■利上げの開始時期よりも重要なのは、その内容
現時点では、確かに9月に開始するのか12月に開始するのか、それは、まだわからないが、「利上げが開始されれば、時間をかけて一定幅(たとえば、トータルで1%のような)での利上げが想定される」ということだ。
利上げの開始時期よりも、その内容の方が重要視されると個人的には考えている。
(2015年9月16日 東京時間14:50記述)
(松田 哲)
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