■G20で中国がバブル崩壊を認めた! 市場には安堵感
トルコのアンカラで先週末にかけて開催されたG20(財務大臣中央銀行総裁会議)では、中国が、「一連の世界的株価下落の原因が、上海株式市場のバブルがはじけたことにある」と認めた上で、財政政策を含む対応でコミットメントしたことが、「心理的不安」を一時的に取り除くことになりました。
これまで表向きには「米国の利上げ観測が株価の急落を引き起こした」との立場だった中国自身が、自らの市場が引き起こした「チャイナブラックマンデー(8月25日のFT(フィナンシャル・タイムズ)紙一面)」の対応を世界中に約束した意味は、かなり大きなもの。
(出所:CQG)
周小川中国人民銀行総裁の表明を受けて、麻生副総理兼財務金融相が、「上海市場に端を発した株価急落に対して世界中が関心を持っている現実を中国が知った意味は大きかった」と発言しているほか、「我々は会議の中で中国と言ったのは確かで、分かりやすいように言った。声明文に載らなかったからといって、日本の立場に孤独感はまったく感じていない」と、その内幕を一部暴露しているように、市場には「G20での対立」という「最悪の事態」を免れたことで、「一種の安堵感」が生まれたことは確かでした。
【参考記事】
●中国ブラックマンデーから衝撃の急落劇!戻りの弱い米ドル/円の上値メドは?(8月27日、今井雅人)
■不安定な心理状態を表すように繰り返される乱高下
ただ、今後は中国が自国のプライドにかけても政策対応において「同じような過ちを犯すことはない」との認識が高まっている一方で、中国側からは「このバブル崩壊から回復するまでには10年はかかる」との見通しが表明されているワケで、市場では「長期に渡る中国経済の低迷がもたらす世界経済への影響」を危惧する声が増大してしまったことも隠しようのない事実です。
市場では、そんな不安定な心理状況を如実に表すような乱高下が繰り広げられています。
今週(9月7日~)に入って、レイバーデー休暇明けの9月8日(火)、日経平均に「11日のメジャーSQに向けた短期投機筋の売り仕掛け」が観測されると一気に下げ幅を拡大。
年初来で見ても、「ついにマイナス圏」に突入するといった「売り方にとっては絶好の材料」も加わると、さらに売りが重なる展開となりました。
米ドル/円もランチタイムに、一時118.855円まで下押ししています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
■突如起こった怒涛のクロス円買い!
ところが、株式市場終了の15時を過ぎ、すでに7日(月)に報道されていた「本邦機関投資家による英損保会社買収」が正式にアナウンスされると、ここから「怒涛のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)買い」という動きとなりました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
欧州市場の十分な流動性のなかで、「ユーロ/円の買い上げ」や「ユーロ/英ポンドの売り浴びせ」となりましたが、結果として「英ポンド/円」を買うというオペレーションが一気に市場に持ち込まれることになりました。
本邦企業によるM&A案件の急増は、本邦年金資金などの買いと同様に、これまでも何度となく相場の下支えを担ってきていますが、このように、かなり目に見える形で相場が押し上げられてしまったことで、本来直接関係のなかった株価や、その他のクロス円といったもののショートがあぶり出されることにつながりました。
理由の是非はどうであれ、「極度のリスクオフ」モードから…
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