■10月30日に黒田日銀は追加緩和に動かない…
みなさん、こんにちは。
10月30日(金)には、注目の日銀金融政策決定会合が予定されています。
しかし、8月に急落を演じた後の日本株は、本稿執筆時点で1万8500円近辺で底堅く推移していることもあり、黒田日銀総裁は追加緩和に動かないだろうというのがマーケットのコンセンサスになりつつあります。

(出所:株マップ.com)
これは下記の麻生財務相のコメントにも示唆されています。
今すぐ日銀が追加緩和という状況ではない=麻生財務相
麻生太郎財務相は16日夜放送されたNHKとのインタビューで、景気対策としての追加緩和について「たぶん日銀も、今すぐさらに金融緩和というのではない。今、カネは余っているのであって、むしろ需要が足りない」と述べた。
出所:ロイター
ただ、10月30日(金)の日銀会合はゼロ回答ではないかとの予測が浸透してきているにもかかわらず、米ドル/円と日経平均は底堅く推移しています。
その要因のひとつとして、11月4日(水)に迫った郵政3社のIPO(新規上場)があると言われています。
政府としては、日本郵政のIPOを失敗させるわけにはいきません。そのため、11月までは「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」や「3共済(国家公務員共済、地方公務員共済、私学共済)」を筆頭とした「クジラ」がマーケットに参入し、株価を支え、上場成功へと導くとマーケットではウワサされています。

(出所:株マップ.com)
懸念された上海株も、10月26日(月)から開催される五中全会を控え、急落懸念は後退しています。

(出所:CQG)
■10月15日の米ドル/円安値が118.06円である意味とは?
直近の米ドル/円の動向に目を向けると、先週、10月15日(木)に、米ドル/円は118.06円まで下落するも、そこをボトムに反発しています。

(出所:ヒロセ通商)
この「118.06円」とその安値をつけたタイミングには2つの意味があります。
振り返ると、2014年10月15日(水)に米ドル/円はいきなり105.19円まで急落した後、反発。10月31日(金)には、黒田日銀による「バズーカ2」が発表されたこともあり、12月には一気に121.85円まで急騰しました。
【参考記事】
●「黒田バズーカ2」が炸裂! 米ドル/円は短期でも中期でも買い! サポートは110円(2014年11月4日、西原宏一&松崎美子)
●ザイFX!で2014年を振り返ろう!(2)【相場:後編】黒田バズーカで円安進む!
米ドル/円は2カ月弱で、約16円の大暴騰という大相場を演じました。

(出所:ヒロセ通商)
一方、前述のように、今年(2015年)の10月15日(木)に、米ドル/円は118.06円の安値に到達すると、その後は昨年(2014年)と同様に、じわじわと円安に戻しています。
本稿執筆時点までの米ドル/円の動向では、今年(2015年)も、10月15日には時間的な意味があると言えます。
■米ドル/円の安値118.06円は価格的にも重要なサポート
もう一点、米ドル/円の10月15日(木)につけた118.06円という安値は時間軸の観点からだけでなく、価格的にも重要なサポートとなっています。
前述の2014年10月15日安値105.19円と、2015年8月24日のチャイナショック時の安値である116.15円でサポートラインを引くと、10月15日(木)のサポートは118.05円であり、同日の安値118.06円と合致するのです。

(出所:ヒロセ通商)
米ドル/円の118.00円には、118.00-122.00円のダブル・ノータッチ・オプション(DNT option、※)があったから割れなかったという意味もありますが、118.05円という値と、10月15日という日柄にはこのように重要な意味があったわけです。
(※編集部注:一定期間中に、上下2つの価格のどちらかへ到達するか否かをかけるオプション取引のこと)
■NYダウは週足終値での61.8%戻し達成がカギ
前述のように、2015年年末に向けて、米ドル/円は底堅く推移する可能性が高いと想定していますが、注意すべきは外的要因。
10月最終週には、FOMC(米連邦公開市場委員会)、五中全会、日銀金融政策決定会合と、重要イベントが続き、マーケットは乱高下を余儀なくされそうです。
そこで注目されるのが、本丸であるNYダウの動向。
以前のコラムでもご紹介しましたが、8月21日(金)にNYダウの重要サポートである1万7000ドルが決壊。それが、翌週8月24日(月)のチャイナショックを誘引しました。
【参考記事】
●NYダウはさらに暴落するリスクあり!?株高のカギを握る本邦当局の一手とは?(8月27日、西原宏一)
1万7000ドルというマジノ線(※)が決壊したNYダウは、一気に1万5370ドルまで暴落。
(※編集部注:「マジノ線」とは第二次世界大戦前にフランスがドイツとの国境に築いた難攻不落と言われた要塞のこと)
本丸であるNYダウの急落に連れて、米ドル/円も118.00円を割り込むと、一気に下落が加速したのは記憶に新しいところ。
NYダウは、2015年10月22日(木)現在、1万7100ドル台で推移。

(出所:CQG)
NYダウは、チャイナショックで急落しましたが、200週移動平均線が位置している1万5370ドルがサポートとなり反発し、先週(10月12日~)、1万7000ドル台を回復。
ただ、NYダウは今年(2015年)5月の高値と8月の安値の下落幅の61.8%戻しである1万7212ドルを大きく上抜けられず、週足ベースでここを越えられるかどうかが重要なカギとなりそうです。

(出所:CQG)
■NYダウ1万7000ドル割れなら、米ドル/円は調整も…
来週(10月26日~)、多くの重要イベントを控える中、仮にNYダウが61.8%戻しを越えられず、1万7000ドルを再び割り込むような展開になれば、外的環境の悪化により、日経平均と米ドル/円も調整を余儀なくされる可能性が高まります。

(出所:ヒロセ通商)
NYダウが1万7000ドル台で底固めできるかどうかには注視したいところです。
10月最終週は多くのイベントを控え、2015年年末に向けての日経平均と米ドル/円の動向を占う意味で重要な週となりそうです。
(※筆者の都合で、来週はこのコラムを休載させていただきます。次回は、11月5日(木)から再開の予定です)
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