■2015年はユーロ/米ドルの下落がメインテーマ
今年(2015年)の為替市場を振り返ってみると、主役は何と言ってもユーロ/米ドル。
QE(量的緩和策)を開始したECBと、9年半ぶりの利上げが予測されていたFRBという欧米2大中央銀行の金融政策の逆行性に注目が集まり、ユーロ/米ドルの下落がメインテーマでした。
【参考記事】
●欧米2大中銀の金融政策が逆行する中、ユーロ/米ドルはパリティ割れも視野に!?(11月26日、西原宏一)
ただ、今月(12月)発表されたECBの追加緩和は、マーケットが想定したようなハト派的なものとはならず…。
それもあって、ユーロ/米ドルの下落はマーケットが想定していたような、パリティ(1ユーロ=1米ドル)割れといった相場展開にはなりませんでした。
ユーロ/米ドルは依然として、15年来のサポートを割り込めず、調整局面が続いています。
【参考記事】
●12月雇用統計の翌営業日に高値をつけて反落…昨年と今年のドル/円は超似ている(12月10日、西原宏一)
(出所:CQG)
結果、欧州と米国の中央銀行の金融政策が逆行するという珍しい相場環境の中においても、それほど米ドルは強くなかったというのが今年(2015年)の相場展開。
このユーロに対する米ドル高の流れが緩慢になったことが、米ドル/円の行方にも影響します。
■2016年の米ドル/円は反落に警戒!
2015年の米ドル/円は「128円に向けての米ドル高」というのがマーケットのコンセンサスでした。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
対円でも米ドル高の流れは変わらないものの、今年(2015年)の主役はユーロであり、ユーロ/円の下落の影響で、米ドル/円の上昇余地はそれほど大きくないというのが多くのマーケットの予測でした。
実際の米ドル/円の高値は125円台止まり…。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
つまり、米国景気の底堅さに呼応した米金利の上昇による米ドル高は、マーケットの想定ほど強くないということなのです。
見方を変えれば、FRBの利上げ開始に時間がかかりすぎて、マーケットは米国の利上げをすでに織り込んでしまったとも言えます。
金融政策の逆行性が際立っているユーロ/米ドルですら、米ドル高のスピードは緩慢。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
そうなると、追加緩和期待が後退している日銀のスタンスから考えれば、米ドル/円は上昇ではなく、反落するのではないかという意見も増えてきました。
その米ドル/円反落シナリオの背景ですが、まず、本邦当局の米ドル/円に対する見方の変化が…
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