■日米当局はこれ以上の米ドル高・円安を望んでいない
その米ドル/円反落シナリオの背景ですが、まず本邦当局の米ドル/円に対する見方の変化があります。
今年(2015年)、米ドル/円が125円に上昇した局面では「黒田ライン」という言葉も登場したように、125円以上の円安は、日本政府が望んでいないのでないかという見方です。
加えて、2011年につけた75円から米ドル/円はすでに50円弱急騰しているため、これ以上の円安・米ドル高は米政府も望んでいないのではないかという思惑です。
昨年(2014年)の米ドル/円は、10月15日に105.17円でボトムアウトし、12月の米雇用統計後、121.85円の高値に到達した後、調整に入っています。
米ドル/円は、今年(2015年)も10月15日(木)に118.06円でボトムアウトし、昨年(2014年)同様、米雇用統計後に123.48円に到達した後、反落しています。
【参考記事】
●12月雇用統計の翌営業日に高値をつけて反落…昨年と今年のドル/円は超似ている(12月10日、西原宏一)
(出所:CQG)
振り返ってみれば、昨年12月の米雇用統計後に米ドル/円は一時、121.85円まで到達していますので、今年(2015年)の米ドル/円は、マーケットが想定していたほど、米ドル高が進んでいないことがわかります。
現状のまま今年(2015年)を終了すると、2012年から連続してきた米ドル/円の上昇トレンドが徐々に失速してくることになります。
■120円を割り込めば、円高へ動きそう!
そして、米ドル/円のサポートは昨年(2014年)10月からサポートされているライン。
このラインが8月24日(月)のチャイナショック時の116.15円、そして10月15日の118.06円と米ドル/円の下値を支えています。
(出所:CQG)
このサポートラインが本稿執筆時点で、120.00円レベル。
FOMCの開催前も、米ドル/円は原油安や株安で下落しましたが、それも120.33円までで、このラインがサポートとして働いています。
2015年年末に向けて、仮に米ドル/円が、この120.00円を割り込んでくれば、年末年始はまず円高への修正が起きる可能性が高まります。
米金利の上昇もあり、2016年も米ドル高予想がコンセンサスとなりつつあります。
2016年4月ごろに日銀の追加緩和という予測もあり、仮に日銀がQQE3(量的質的緩和第3弾)を決定すれば、流れを変えることはできるのでしょう。
しかし、現状のままですと、他通貨では緩慢ながら、米ドル高の流れは続きそうですが、当局が125円以上の円安を歓迎しないことに加え、2011年の75円からすでに50円弱急騰し、調整相場入りする可能性も高いことから、2016年は米ドル/円の思わぬ反落に警戒です。
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