■FOMCを経て、年内2回の利上げを織り込んだ
ちょうど前回のコラムでは、3月16日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が政策金利を発表したばかりとあって、その決定を踏まえた市場センチメントの変化をお伝えしました。
【参考記事】
●米利上げ回数は4回から2回へ下方修正。どうして利上げ見通しは引き下げられた?(3月17日、今井雅人)
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FOMCメンバーが示した四半期ごとの「経済・金利見通し」での予測によると、2016年末時点のFF金利(※)誘導目標は中央値で0.875%になり、これは前回の1.375%から50bp(ベーシスポイント)引き下げられたことになります。市場は、はっきりと目に見える形での金利水準を前にして、「年内2回の利上げ」を織込むことになりました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
しかも、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が定例記者会見で「リスク」について強調したこともあり、わかりやすく言えば、「できてもせいぜい2回の利上げ」との認識が植えつけられました。
■ハト派からの発言が相次いでセンチメント変化
ところが、今週(3月21日~)に入って、その認識を修正させられる結果となっています。
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日本が休場となった週明け3月21日(月)には、昨年のFOMC投票メンバーの中では中立的存在として、その発言が常に注目されていたロックハート米アトランタ連銀総裁が、「利上げは早ければ4月FOMCで正当化される」との見解を表明しました。
翌22日(火)には、ハト派で知られているエバンズ米シカゴ連銀総裁が「2016年2回の利上げはまったく不合理ではない」と、こちらも驚きの発言となりました。
FOMCのハト派といえば、「年内利上げなどもってのほか」との認識だったはずですが、そのハト派からこういった発言が飛び出すという事実は、やはり、何らかの意図を感じざるを得ません。
■「せいぜい2回」から「最低でも2回」へ急速に変化
さらに、翌23日(水)には、2016年のFOMC投票メンバーであるブラード米セントルイス連銀総裁が「FOMCは4月に行動する可能性がある。インフレのオーバーシュートを招く可能性がある」との見解を表明しました。
一連の発言を受けて、市場は、これまでの「できてもせいぜい2回の利上げ」から、「最低でも2回の利上げ」というセンチメントへ急速に変化してきています。
「経済・金利見通し」の「ドットチャート」が、あたかも「フォワードガイダンス」のような扱いとなってきていることに対する当局の警戒感、つまり、「もっと曖昧にしておきたい」といった意思が、ブラード米セントルイス連銀総裁が、「この見通しへの参加の棄権も考えた」と嫌悪感を隠さなかったところからも、ひしひしと伝わってきます。
本日、3月24日(木)は…
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