米中関税合意でリスクオンの反応は見せたが影響は一時的
トランプ米政権は、英国に続いて中国とも関税交渉で合意をしました。内容は、これまでお互いに課していた追加関税を115%引き下げるというものです。これで、米国から中国にかける関税は30%に、中国による米国への関税は10%となります。
こうした発表を受けて、マーケットはリスクオンの反応を見せ、各国の株価は一斉に上昇しました。また、為替相場では米ドル全面高の展開となりました。
しかし、その流れは1日で終わってしまったようです。
影響が一時的なものに終わってしまった理由としては、今回の合意は90日間限定であること、そして、一定程度の関税は残ってしまったことだと考えられます。

(出所:TradingView)

(出所:TradingView)
英国との合意は期間限定ではなかったものの、やはり一定程度の関税は残ってしまいました。
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米ドル/円は145-149円程度までレンジ切り上げ
先週のコラムにおいて、米国と英国の合意によって米ドルのレンジが切り上がるイメージと書きましたが、その認識は変わっていません。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は144-147円程度へレンジ切り上げか?米国と英国による関税問題合意が他国に波及すれば米ドル上昇圧力がさらに強まってくるか?(5月9日、今井雅人)
今回の米国と中国の合意によって、そのレンジがさらに1-2円程度上にずれたという認識です。米ドル/円のレンジは145-149円程度と考えておきます。

(出所:TradingView)
今後についてですが、これからほかの国との交渉も進んでくることになります。内容にもよりますが、交渉の合意が発表される毎にリスクオンの反応となる展開が続くというのが基本シナリオですが、その効果は徐々に小さくなっていくと考えられます。
これまでの英国や中国のときのような反応はしないのではないかと考えています。
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不透明感から日銀もFRBともに金融政策は動かせない
最後に、トランプ米大統領の関税政策の影響の陰であまり注目されていませんが、金融政策について考えておきます。
まず、日銀ですが、直近の金融政策決定会合において、政策金利を据え置きました。トランプ関税の影響が不確定であるため、日銀は今後も当面は動かないと思いますので、日銀サイドからの相場変動要因はないと思います。
次に米国ですが、13日に発表されたCPI(消費者物価指数)は年率でプラス2.3%と約4年ぶりの低水準となりました。
ただ、トランプ政権の関税の影響がまだ反映されていないので、これも当面は動けないと思います。
以上のことを考えると、今後もトランプ相場が続くと考えておく必要がありそうです。

日銀もFRBも動けず、今後もトランプ相場が続くと考えておきたい (C)Mark Wilson/Getty Images
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