■FOMCで利上げは年4回から2回へ下方修正
3月15日(火)~16日(水)、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
政策金利は予想どおり、FF金利(※)の誘導目標を0.25%-0.50%とすることで据え置きとなりましたが、年内の利上げ見通しを下方修正していることが明らかになりました。
(※編集部注:「FF金利」とは、フェデラルファンド金利のことで、FFレートとも呼ばれる。米国の政策金利)
FOMCメンバーが示した四半期ごとの「経済・金利見通し」での予測によると、2016年末時点のFF金利誘導目標は中央値で0.875%と、前回の1.375%から50bp(ベーシスポイント)引き下げられましたが、これは年内2回の利上げを示唆しています。
2015年12月時点の予想では4回の利上げが示唆されていたわけですから、見通しが下方修正されたということになります。
【参考記事】
●ドル/円120円~121円台はなぜ買いなの? 安易な新興国通貨への投資は止めよう!(2015年12月17日、今井雅人)
●日銀追加緩和は今回なくても近々あるか!? 米ドル高相場にならないと思う理由とは?(1月28日、今井雅人)
■米利上げ見通しが、下方修正された理由とは?
その理由として、声明文では「グローバル経済および金融情勢がリスクをもたらし続けている」との懸念に言及しています。
イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長も定例記者会見で、「今回の会合では、適切な政策軌道に関する大半の参加者の予測に変化が見られた。米国を除く世界的な成長見通しが若干鈍化したことや、スプレッド拡大という形で信用状況がタイト化していることをおもに反映している」との見解を示しました。
■米国だけが金利引き上げをしようとしている状態
先日、ECB(欧州中央銀行)が大規模な追加金融緩和を決定しました。日銀も2016年1月の会合でマイナス金利の導入を決定しています。
【参考記事】
●日銀マイナス金利導入の影響は終わり! 少しレンジディールに徹する時期にきた(2月4日、今井雅人)
世界の主要国が金融緩和をしている一方で、米国だけが金利を引き上げていくことは避けた方が良いという考えになっているのではないかと思います。
■現在はまだトレンドが出るような時期ではない
こうしたFOMCの結果を受けて、主要通貨全体に対して米ドル安が進み、米ドル/円も112円台前半になってきています(※)。
(※編集部注:2016年3月17日(木)午後には、111円台まで下落した)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
しかし、原油先物市場、中国の株式市場などを見ても、低位ながら、落ち着いた動きを見せており、リスクオフという相場展開にはなっていません。むしろ、レンジ相場に入り込んでいる状況が長期化していると考えておくべきでしょう。
(出所:CQG)
(出所:CQG)
ですから、まだ外国為替市場においても、その他の金融市場においても、トレンドが出るような時期ではないという、前回コラムまでの見方は、そのまま維持しておきたいと思います。
【参考記事】
●各国の金融政策スタンスがバラバラに…。NZドルは予想外の利下げで急落!(3月10日、今井雅人)
株価の方は、FOMCの結果を受けて…
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