昨日のアジア時間では原油価格の急落もあり、マーケット全体がリスク回避に傾いた。日本株も大きく下がり、そしてドル円も107円台に突っ込んだ。こうなると今月初旬につけたドル円の今年の安値である107.63が意識される。
ひょっとするとサラッと抜けてしまって、105円台くらいまで走ってしまうかもしれない。そのくらい多くの市場参加者が相場の成り行きを、注意深く見守っている段階であった。
ドル円が107円台での推移を完璧に脱して、108円台から上サイドを臨もうとしだしたのは欧州序盤になってからである。好材料がまったくなくてブルームードで始まった欧州市場であったが、原油相場が反発しだしたのである。みんなが心配していたのは原油価格の下落であり、リスク許容度の減退である。それが底打ちしてきたのだ。
なんでもクウェートでストが発生したようである。詳細はわからないが、石油生産が減ることには間違いはない。材料とするには好材料とは言えないのだろうが、とにかくそれで原油相場が持ち直した。大きく下げてスタートした欧州株も次第に値を戻してきた。そしてドル円やユーロ円も上昇に転じたのであろう。
それに安心感を得て、ニューヨーク勢もリスクテークで参入してきた。ドル円は108円台の後半まで上がり切って、下がりそうもない。私としては週明けからの大いなる相場の崩れを楽しみにしていただけに、ちょっと拍子抜けである。また取引をすることもなかった。米国株はそのまま今年の高値を更新し、9か月ぶりの水準まで戻してきたそうだ。
そうした海外株の復調で、石油協議の決裂は完全に忘れ去られた格好となった。今日になって朝から日本人も昨日の下げを自分らで取り返すかのようにして、リスクテークに励んでいる。ドル円は109円台に乗せてきて、日本株も大きく上げている。
しかしこの動きも長く続くとは見られていない。東京勢の買い一巡後に利食いが出てきたときに、現状の高い水準を正当化するだけの材料は、何もフレッシュに出てきていないのだ。
6月にもOPECの協議があるからと期待する向きもあるが、今回の非OPECとの協議のほうが重要だ。OPEC内だけで生産調整してもシェアが減るだけだということは、過去の教訓が物語っている。今夜も再び原油価格の要ウオッチ態勢が重要となろう。
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