さて、いよいよイギリスの国民投票の開票だ。最初は残留派の多い地域の票が開いて、徐々に離脱派の多い地区の票が開くという順だそうだ。だから開票の結果が出るたびに、マーケットは一喜一憂しそうであった。
朝はものすごいリスクテークで、ドル円は106円台の後半まで買い進んでいる。ニューヨーク勢が買った高いものを、喜んで買っているのだ。出口調査でも残留派が多数を占めていたからでもある。
しかし出てきた開票速報の一つが、残留派が66%だという報道が流れたあたりから空気が変わってきた。一喜一憂はわかっていたものの、ドル円は1円以上も下がって105円台の中盤へ。
すぐに106円台に戻りかけたが、そこからの下げが激しかった。昨日から買って買って買いまくった分の投げ売りも巻き込んだのだろう。ドル円は103円台を見るに至った。しかもこれは今年の安値を下抜けした水準だ。
9時の東京オープンでは何とか105円台まで戻したりするものの、ショートカバーの勢いが良かったのはここまでで、さらなる上値追いは見られない。だいぶ安心感が蔓延して楽観していただけに、ひょっとしたらという懐疑心が持ちあがってきたのだ。そして開票が進むとともに、ドル円は再び103円台へ。
お昼近くになってBBCが離脱派が優勢と報道すると、一気にリスク回避の動きとなった。ドル円は99円台まで下がって、瞬間的には98円台もあったという。ユーロ円も110円台の大台も割り込んできた。ポンドはもっとひどい。1.32台とか1.33台まで下がっているのだ。こんなレートは見たことがない。
その後もBBCの報道に左右される形で、どことなく離脱派が勝ちそうなムードになってきた。グローベックスでは米国株も大幅下落しており、今年最大の下げ幅である。質への逃避で米国債も1.50%を割り込んできて、これは歴史的な低水準に極めて接近したもの。日本株も大きく下がるのを余儀なくされている。
市場のパニックを反映して、相場の値動きはとても軽い。かなりの注意を払わないと、簡単にやられてしまいそうである。この混乱は夕方以降、もっと強まるものと思われる。結果がEU離脱で判明してしまうと、これは完全なサプライズであるからだ。その後に続く政治の混乱もあるだろう。相場に入るならば、ポジションは極力、軽くして臨むべきであろう。
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