先週の金曜日の海外市場で、ほぼマーケットは固まってしまったので、週明けのマーケットではあまりダイナミックな動きは見られなかった。特にドル円の101円台や102円台でも売られ過ぎという評価も少なく、株価の下落にしてもパニック的なものは見られなかった。また想定外のことが起こった割には、リスク回避の動きも限定的だったといえよう。すでにマーケットは第2段階に移っていると見られる。
実際にイギリスがどのタイミングでEUに離脱を申請するのか。どうもイギリスは世論の行方も見てみたいという思惑から、先延ばしが有効と考えているようだ。一方でドイツを盟主とするEU側は離脱する国が続出するのを恐れて、イギリスに対しては厳しい姿勢で臨むものと思われる。そして昨日の欧州時間ではメルケル首相が「離脱の通知を受ける前の非公式協議に歯応じない」と厳格な姿勢を示した。
欧州序盤ではドル円は102円台の前半まで戻し口調だったのだが、欧州時間では一気に軟化。101.40あたりまで下げた。しかしこれはアジア時間でつけた安値と同じようなレベル。つまるところレンジをはみ出して、急激な動きはしていない。材料が材料だけに市場に不透明感を増しているのは事実なので、もっと激しい動きが期待されたところ。それが朝から見てもドル円が1円の範囲に収まるというのは、いかにもガッカリものである。
一方でポンドもおとなしい。早々にポンドドルは金曜日の安値を下回ってきて1.31台に突入してきたが、たかだかそれだけ。500ポイントとかの動きはもう見られない。狭いレンジ内の動きはニューヨーククローズに至るまで継続した。
こうしたあまりにも安定した動きを示すマーケットなのだから当然のことだが、ルー財務長官も「秩序的だ」と評している。またそれゆえにこのステージで為替介入するのはそれなりの明確な根拠が必要だともしている。これだけ静かな動きなのだからパニックにもなっていないので、当たり前のことである。現行の水準で騒いでいるのは日本だけのようである。
世界的に進むリスク回避の動きで、どの国の債券相場も活況である。利上げを議論してきた米国債ですら、10年ものの利回りは1.40%台まで低下してきている。これは量的緩和の副作用で2012年につけた歴史的な最定水準である1.377%に極めて接近している。
世界的にはリスクが取れない状況となっているのは念頭に置いておかないといけない。つまり目先では動きが鈍くとも、大きく動くであろう潜在力を秘めているということだ。
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