■今年の英ポンドの下落はプラザ合意の「米ドル」に匹敵
多くの国が通貨安を志向している環境下、この英ポンド安は中央銀行の政策が効力を発揮したのでしょうか?
ご存知のように、この通貨安(英ポンド安)は、Brexit(英国のEU離脱)がもたらしたもの。英ポンド/円は、1年で約67円もの暴落となりました。
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結果として、今年(2016年)の英国は、1985年のプラザ合意(※)における「米ドル」に匹敵するほどの通貨安を実現しています。
(編集部注:「プラザ合意」とは、1985年9月にG5(アメリカ、日本、西ドイツ、イギリス、フランス)の大蔵大臣・財務長官・中央銀行総裁がニューヨークのプラザホテルに集まって行われた為替に関する歴史的な合意のこと。このプラザ合意によって、急速な円高が進み、米ドル/円は2年3カ月でおよそ半値になるような、途方もない速度で下落することになった)
この間、恣意的と批判されるような金融政策をとっているわけではありませんので、急激な通貨安を誘引したと他国から批判されるわけではありません。
逆に、Brexitの悪影響で景気の急速な悪化が指摘されています。
ただ、一部のエコノミストの間では、「急激な英ポンド安」を実現したことにより、英国経済の回復を指摘する報道も見られます。
■英ポンド/円の暴落が米ドル/円にも影響
一方、英ポンド/円での約67円もの暴落は、米ドル/円相場に影響をもたらさないわけはありません。
米ドル/円は英ポンド/円急落のあおりを受けて、昨年(2015年)の高値である125円から約20%もの暴落。急速な円高により、アベノミクスの失速も指摘される状況です。
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ただ、その英ポンドは徐々に下げ止まりを見せています。
Brexit以降、英ポンド/円は、2016年7月6日(水)に128.82円の安値をつけ、そして、8月16日(火)に129.23円と二番底をつけ、ダブルボトムを形成。9月2日(金)には一時、138.84円まで反発しています。
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昨年(2015年)からBrexitをマーケットが織り込む形で急落してきた英ポンド/円。そのBrexitが現実となり、「バイ・ザ・ファクト」の状況となったこともあって、英ポンド/円は徐々に反発を見せています。
そして、急落を演じてきた英ポンド/円が下げ止まったことは、米ドル/円にも影響を与えます。
タイムラグこそあれ、米ドル/円も100.00円という節目で反発。
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1年で約67円もの暴落を演じた後、ダブルボトムを確認し、反発に転じた英ポンド/円。
今年(2016年)最大の下落を演出してきた英ポンド/円の反発と、呼応して100円で底固めを形成中の米ドル/円の反発に注目です。
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