■FOMC前後で「セル・ザ・ファクト」の調整か
FOMCでいったんは利食い売りが出てくるでしょうね。
ただし、米ドル/円はこの1カ月で14円も上昇してきました。買い遅れている実需筋やM&A組も多い。落ちたところを買いたい人は多いですよね。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
そもそも米大統領選挙では、米ドル/円を90円台で買えると思って待っていた実需筋もいました。
彼らはまだ十分に買えていないし、イベントをきっかけにして下がったところは買いたいでしょう。
米ドル/円のロングを持っている人はいったん利食って、FOMC後の安値で買い直してもいいかもしれませんね。
気をつけたいのが調整のタイミング。FOMC後とは限らず、その前に調整が入る可能性もあります。
今朝(12月12日)のメルマガ「FXトレード戦略指令!」で配信したように、米ドル/円の一部を利食ったのも、そのためです。
為替はまだ弱気な人もいますが、強気な人が目立つのが株。「年内日経平均2万円」の声も高まっています。
いずれ到達するにしても、急落でヒヤっとさせる場面があり、短期の買い手をふるい落としてからじゃないでしょうか。
いずれにせよ、今年(2016年)後半はイベントの内容、結果はどうあれ、急落を拾っておけば、待機していた資金がイベント通過後に出てきて買われる展開が続いています。
今回のFOMC前後で米ドル/円の急落する場面は押し目買いでいいでしょう。

(出所:Bloomberg)
■ユーロ下落への備えは不十分
豪ドル/円やNZドル/円を見ると、4月ごろにつけた高値まで戻しています。
酒田五法でいう「鍋底」をつくった形。いったん鍋から水がこぼれるように調整が入ってからのほうが、再上昇しやすそうな形に見えます。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 週足)
今週、12月14日(水)深夜(※)に結果が発表されるFOMCがそのきっかけになるのかどうか…。
(※編集部注:日本時間 12月15日(木)午前4時)
クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)に関しては難しいのが、ドルストレートとの絡み。
トランプラリーによる米ドル高ですから、対米ドルで豪ドルやNZドルが下がればクロス円も上がりにくくなってしまいます。
今、重きを置くのは米ドル高でよいでしょう。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 4時間足)
先週、12月8日(木)に開催された、ECB(欧州中央銀行)理事会についてはどう見ましたか?
実質的なテーパリングでは?と感じる部分もありますが、ドラギ総裁が「テーパリングではない」というのなら、そうなのでしょう。
ユーロ/米ドルは1.05ドル割れが近づいています。昨年(2015年)は「パリティ(=1.0000ドル)だ、いやパリティ割れだ」と盛り上がったわりに落ちませんでしたから、その反動で機関投資家も今回は慎重。下落の備えが不十分なようです。
来年(2017年)の欧州は選挙イヤーでもあり、ポピュリズム台頭の懸念からユーロは売られやすくなるのでしょう。
1.05ドル割れの次のターゲットは昨年(2015年)安値の1.04ドル台ミドルです。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 週足)
■米ドル/円の押し目買い、ユーロ/米ドルの戻り売りを継続
今週はBOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])の会合もありますね。
欧州市場へのアクセスを失う「ハード・ブレグジット」が懸念されていますが?
昨年(2015年)末から今年(2016年)前半はディーラー人生のなかでもいちばん、英ポンドを取引した時期でしたが、英ポンドの下落については10月のフラッシュ・クラッシュで終わったのかなという印象。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
かといって買いで入ってもハード・ブレグジット云々のヘッドラインで振り回されるため、今は様子見でいいかと思います。
FOMCを控えた今週(12月12日~)は、米ドル/円の買いポジションを一部利食いし、落ちたところを拾い直していく、といったイメージですね。
先ほど紹介したフィボナッチの61.8%を達成し、FOMCでの利上げ織り込み度は100%。米ドル/円は1~2円幅の調整を想定しておきたいですね。
ユーロ/米ドルについても同様です。上昇する場面があれば戻り売りでしょう。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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