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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

米ドル/円は一時144円台、日経平均は3万3000円台。7
月11日から始まった株安・円高の流れは簡単に変わらな
い! お盆に市場がクラッシュもあり得なくない【最終回】

2024年08月05日(月)12:05公開 (2024年08月05日(月)12:05更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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米ドル/円は145円割れ、日経平均は3万4000円割れ。株安・円高の流れは7月11日に始まっていた

日銀は利上げを決定しましたが、市場の反応を見ていると「早過ぎた」という声が聞こえてきそうですね。日経平均は3万4000円割れ、米ドル/円も145円割れです。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingView

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

株安・円高の流れを振り返ると、7月11日(木)がすべてだったとも言えます。この日、日経平均は4万2400円をつけて、豪ドル/円は109.37円の高値をつけました。

ところが、夜になって発表された米CPI(消費者物価指数)はインフレ鈍化を示し、さらに当時の神田財務官は円買い介入を行い、株高・円安の逆流が始まりました。


現在に至る株安、円高の流れは7月11日(木)の夜に始まっていた、とも言えます。

植田総裁はタカ派発言を修正するか

その流れのさなかに、わざわざ利上げする必要はなかったのではとも言えませんか?

円高へ振れていたことは、逆に利上げのチャンスでもありました。円安が進んでいるときに利上げすれば、「円安対策か」と受け止められてしまいますから。

7月には河野デジタル相をはじめ、政治家から利上げを求める声が相次いでいました。「日銀は政治的圧力に屈したのか」と勘ぐる人もいるでしょうね。


それはともかく、驚いたのは植田総裁の記者会見です。タカ派的なコメントが目立ちましたね。

今後の追加利上げも示唆しましたね。

金曜(8月2日)の東京時間には、10月の追加利上げを示唆するレポートも出ました。日銀の継続的な利上げが意識されたことも、株価を押し下げる要因のひとつだったようです。


どこかで植田さんが追加利上げ路線を修正するような発言をしない限り、株安は収まらないかもしれませんね。

9月米0.5%利下げの織り込み進む。緊急利下げもあり得る!?

米雇用統計も悪かったですね。


これまでは、経済指標が悪化しても「バッドニュース・イズ・グッドニュース」で株は買われましたが、いよいよ「バッドニュース・イズ・バッドニュース」で素直に売られる調整モードに入りました。

今回の米雇用統計では、景気後退シグナルである「サームルール(※)」が発動するかどうかも注目点でしたが、失業率は4.3%へジャンプし、発動することになりました。


失業率は一度悪くなると止まらなくなる傾向もあります。FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げが遅きに失した、ということにならないといいのですが。

(※編集部注:サームルールとは、失業率の直近3カ月の平均値が過去12カ月の最低値より0.5%高いと、景気後退の確率が高まるという理論のこと)

だからこそ、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げ幅は0.5%になるのではとの見通しが高まっていますね。

9月0.5%利下げはすでに70%ほど織り込まれていますし、緊急利下げを予想する銀行も出てきました。


実際にあるかどうかはともかく、米ドル/円には効きますね。VIX指数も久しぶりに高まり、23ポイント台となっています。

日経平均の調整は値幅的にはもう十分だが、日数的にはまだまったく足りない

インテルの決算が悪化するインテルショックもありましたからね。

エヌビディアの新AI半導体の出荷も、設計上の不備で遅れる見込みが出てきました。ただ、これは土曜日(8月3日)に出たニュースなので、まだ株価には織り込まれていません。

イランのイスラエル攻撃が取りざたされ、中東リスクも高まっています。イランの報復攻撃は時間の問題のような雰囲気となっています。


ただでさえリスクオフですから、地政学リスクに反応しやすいため、要注意です。

地政学リスクより景気後退懸念に反応しているのか、WTI原油は上がっていません。有事で買われるはずのゴールドも下がっています。

日経平均の調整は値幅的にはもう十分でしょうが、下げが速過ぎたため日数的にはまだまったく足りない。当面は調整が続くのでしょう。

日経平均はリバウンドしても、戻りは売られやすいかもしれませんね。

米ドル/円は当面戻り売りを模索する展開が続く。8月8日公表、日銀会合の主な意見にも注目を

今週(8月5日~)、戻りがあったとしても来週(8月12日~)はお盆。東京時間の流動性が低下します。市場がクラッシュする可能性もゼロではありません

イベントでは、今週、8月8日(木)に日銀会合(日銀金融政策決定会合)の主な意見が公表されます。


どんな経緯で利上げが決まったのか、審議委員が全体的にタカ派だという感じだと、再び株安・円高となるかもしれません。

7月11日(木)から始まった流れはそう簡単に変わらない。当面は米ドル/円の戻り売りを模索する展開が続くのでしょう。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingView

8年間のご愛読、ありがとうございました!

さて、2016年から続けてきた大橋ひろこさんとの対談連載ですが、今回をもって最終回となります。

8年間にわたりご愛読いただき、ありがとうございました。

ひろこさん、ありがとうございました。メルマガのほうはこれからも変わらず配信していきます。どうぞよろしくお願いします。

(構成/ミドルマン・高城泰)

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