先週末のドル円は111円ちょうどを挟んでの動き。今年の安値は110.60あたりまでで、その辺はいくどもアタックしている。短期的なサポートにもなっている状況。海外市場にシフトしていったが、米議会のほうで怪しい話が出てきたら、ただちにリスク回避ということで、ドル円は110円台に突っ込むだろう。
反対に妥協をしてでもオバマケアの修正案が通過するようなことにでもなれば、ドル円の急反発は免れない。そういった状況のもとでニューヨーク時間に入ったが、確たるニュースはぜんぜん出てこなかった。
結果が出たのはニューヨーククローズ間際になってからのことだ。採決は再延期という可能性もあったが、オバマケアの修正案は取り下げるという形となった。その瞬間、ドル円も110.65あたりまで突っ込んだ。米国株もいっせいに下げたが、そのままパニックに陥るということはなく、まもなくすべて値を戻してきたのだ。
トランプ大統領の提案していたオバマケアの修正法案は流れてしまった。最後まで共和党内で多数派に至るまでの賛同を得られなかったのだ。まとまらないのは予想通りとも言えるが、議会を通らないことに対して、結構、あっさりと法案を引っ込めているのが意外だった。
粘りが少ないということは、そもそも通るはずもないと見通して提出していたのか。そうだとすると、今後はモーションばかりの政権運営だという評価が高まり、トランプ氏が当選した基礎となっているものの信頼を揺るがすことにつながりそうだ。
マーケットの反応も見極める必要がある。今回の法案断念を通じて、トランプ政権と言えども外野の声は無視できないことがわかった。それを安定政権になるのではという安心感の高まりからリスクテークに移っていくのか。つまりすでにものすごく高くなってしまっている株価を正当化する方向で動くのかということである。
もう一つは失望の方向である。昨年11月の大統領選の直後から継続してきたトランプラリーの分を吐き出す可能性である。どちらで動くかは今週を通じて市場のリアクションを見つめるしかない。本日の東京市場でも安値更新となったドル円。トランプラリーの半値付近である110円あたりの挙動を要ウォッチである。
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