昨日はアジア時間でもドル円が下がった。112.60あたりで始まった休み明けの東京市場だったが、ドル円は112円台の前半まで差し込んだ。これは先週から続いているドル安の流れを継承したものだ。特にユーロドルが買い戻し、すなわちドルの投げ売りのストップロスに押されて、1.15台に乗せてきたのが大きい。
ドルは全面安の展開となったのである。しかしアジア時間に走るユーロドルは、後で必ず軌道修正される傾向がある。ユーロもドルも関係のないアジア時間で、ユーロドルが動くのは空中戦だという理屈である。
確かに過去の10年20年はそうであった。ロンドン時間では必ず元のほうに戻す圧力が高まる。そしてアジア時間でつけた端っこは、しばらくの間はユーロドルの転換点となることが多かった。
それで私もユーロドルの反転時期が近いのではという観測のもとに、為替相場に対していた。しかし欧州序盤ではユーロドルは一段高。ドル安の傾向は変わらずで、ドル円のショートカバーも限定的だった。
そこへ持ってきてアメリカの議会ではオバマケアの修正案が十分な賛成票を取れないということも報道された。何人かの共和党の上院議員が反対に回ることを表明したからなのだが、それを受けてドル安はますます強まった。
ドル円は111円台に突入し、まだ売り足りないような感じだった。ユーロドルもジャンプするというふうではなかったものの、1.15台の後半まで駆け上がって高値圏で張り付き。まったくユーロドルでは利食い売りが出てくる様子はなかった。
それだけトランプ政権への運営能力に疑問符が打たれ始めたのだろう。これはファンダメンタルズの劇的な変化の始まりでもある。なぜならば年初からトランプ期待でマーケットではリスクテークが進んできたのだから、それが完全に払しょくされれば相場はすべて元の位置に戻らざるをえないのだ。
米企業決算は良いものが並んだが、内容に失望を得たようだ。特にBOAとGSの儲けの捻出が逆転しているのが不安をあおった。GSはトレーディング収入で、BOAは貸付で、と思われていたのが、反対になったのだ。今年に入って利上げは2回。
それによって金利収入が上がるだろうと期待されて金融株が上がってきたのに、その収益構造に疑問符を打けいたせるものだったのである。一方で昨日のマーケットで米国株があまり下がって見えないのは、ネットフリックスやアマゾンが大きく値上がりしたせいだ。これが潜んでいるリスクを見えにくくしている。
今晩もミクロ指標とマクロ指標が混在している。為替相場としてはドルの全面安の落ち着き先を探ると同時に、米国株の調整といったリスク回避の動きにも注意をしないといけないところだ。
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