日銀の緩和縮小に続いて、中国の米国債購入も話題にのぼってきた。しかし昨日のアジア時間では中国政府筋が誤って報道されたものだと、市場の観測を否定した。「政府筋」というのは報道用語であって、情報の入手先は政府のスポークスマン。日本では官房長官にあたる。公式の会見では述べていないだけで、正式のトークであることに変わりはない。
火消しの形とはなったものの、マーケットの反応は限定的だった。欧州時間にかけてもやや株価の復調が見られた程度で、やはり市場の関心は円債の動向になるようだ。いちばん頑固に金融緩和を推進してきた日本だからだ。
政界の流動性の最後の砦ともなるはずだった日本の姿勢が問われていることに変化はない。為替相場ではドル円やユーロ円が依然として重い足取りが続いた。すなわち円の独歩高が続いているのである。ドル円が戻らないのが、その証拠であろう。
そういうわけで私はドル円の売り場を探していた。ショートカバーが出ている最中はもちろん売れない。なんとか買い戻したい人の買いが出尽くしたところを見極めないといけない。売るにも我慢が要るのである。なにせ中国の否定報道で、ドル円やユーロ円が上がっていくのではないかと期待している人々も多い最中である。
ドル円がどうしても112円台まで度仕切らなさそうだと見切りをつけて、次のアメリカの経済指標の前に売っておくことにした。111.66で売ったが、買戻しのストップロスは111.90でよい。これはまだつけていないレベルだからである。
経済指標の出る前にユーロが急伸しだした。ECBの議事録の中で、今年は年初からガイダンスの見直しを段階的に進めていくという趣旨のことが含まれているからだ。ただでさえタイトニング方向の話には敏感になっているマーケットだったのだから、その反応も大きい。ユーロは上昇し、ユーロドルは1.20台に乗せてきて、最近のレンジスタンスになっている1.2093を目指す展開となった。
アメリカのPPIは低めだった。とくにマイナスと出たことがマーケットの反応を促した。ドル売りが出たが、大幅なものではなかった。私は翌朝に早く出かける用事があったので、ストップ注文を111.75まで下げて寝ることにした。朝見るとドル円は111円台の前半。私の損切りもついていない。さっそく111.27で買い戻して出直しを図る。
今晩はCPIや小売売上高など、重い経済指標が並ぶ。そのうえ米企業の決算発表も本格化してくる。JPモルガンやウェルズファーゴといった大手金融が先駆けだ。米企業は12%級の増収増益が見込まれている決算期だが、期待が大きいだけに相場の波乱要因となることもある。
為替相場ではドル安の流れは変わらないだろう。とくにユーロドルが1.21台に乗せてくるようであれば、それはフレッシュなドル安ゾーンへの侵入であり、ドル売りに圧力がかかるかもしれないのである。
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