昨日は長期金利の上昇が意識される一日となった。日本とドイツの長期債の問題は先週までにやっている。今回は米国債である。10年ものの利回りは長らく2.60%台をトップに、なかなかそれを超えてくることがなかった。
それが昨日の海外市場ではブレークしてきたのだ。ドル金利の上昇といっても、それほどの幅ではない。小幅上昇だけでしかないのだが、やはりフレッシュな水準に至ったのが、何か別のことが起こることの前触れではないかとの思惑を呼んだものと思われる。
ドル金利は短期でも長期でも、上昇することは企業コストの増加を意味する。経営をする立場の企業にとっては、税金も支払い金利も同じ経費である。あれだけ減税で盛り上がったのだから、コスト増でも同じくらい心配すべきであろう。おそらくは悪材料には目をつぶるというのが、投資家心理というものだが。
そういうわけで昨日のニューヨーク市場では金利上昇が意識され、米国株も利食い売りが先行。マーケットもややリスク回避に傾いて、クロス円が総じて安い。ユーロ円も先週までの高値追いはやめて、すでに134円台にまで下がってきている。下がってきたと言っても、依然として高水準なのだが。
そして先週から強まっていたドル安の流れも一服。ドルショートもたまっていただろうし、その分のスクイージンズが出たようだ。ニューヨーク時間だけ取り出してみると、ドル相場は全面高の格好となっている。
ユーロドルは1.23台の中盤まで押し込まれて安くなったなあ、という感じがするが、これは昨年来から、また年初からのレベルでも見ても、まだまだ高いといえる状態である。
今晩はケースシラーや消費者信頼感の指標が出るが、市場の関心は雇用関連にシフトしている。今日のところはまずは指標では反応しづらいだろう。相場も動かないだろう。
むしろ昨日から顕著になりだしたドル金利の動向のほうが心配の度合いは大きい。それにともなってリスク資産の価値がどこまで調整する余地があるのかのほうが大事である。クロス円の一段押しにも要注意ということになる。
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