先週の金曜日はアジア時間ではドル円が106円割れをうかがう。しかし日本株の値動きが乏しいため、為替相場だけで単独のリスク回避はできない。あとの勝負は海外勢の動きかたを見てからかと思っていたところ、ちょっとだけ反応したのは国会で証言させられている黒田総裁の話が伝わった瞬間である。
中身は大したことは言っていない。これから2期目に入るので、まだ5年もある。次の5年も何もしないのかと思われたくないためか、来年には物価目標は達成される可能性も高く、よって出口戦略も考え始めるということだ。
しかし今まで「出口戦略は考えてもいない」と言っていただけに、当たり前の内容であってもマーケットは敏感に察知した。東京クローズ間際には円債相場が崩れるという局面があった。
これが直接、円買いにつながる理由はない。しかしこれまでのマーケットの反応でもそうだったのだが、長期金利の上昇は株価の下落をもたらし、それがリスク回避をもたらすというもの。それでドル円もついに105円台に沈んできて、そのまま106円台に戻すことはなくなった。
私もドル円ショートの買い戻しをした後で次の売り場を探していたのだが、ついに戻しはなく、私も突っ込み売りでついていかないといけない状態に陥った。105.91で売ってみて、106.15で損切り注文だけ出しておく。
基本的にドル円はベアなので、多少の下げでは買い戻したくない。相場が下がったら、その分だけストップアウトのレベルを下げていくことだけができることである。トレイリングのようなものだ。
本格的にリスク回避となったのは、欧州時間になってからである。ドル円はほぼ一方的に下げて105.30あたりまで差し込んだ。しかしスピードはのろい。その間に大量のビッドもあったのだろう。ロングメークの買い注文ではなさそうだから、そのほとんどがショートの利食いである。だとしたら買い終わったところで一段安してもよさそうなものである。
ニューヨーク時間になってもリスク回避の流れは変わらずで、米国株も大幅安となっており、このまま4日連続の大幅安になるのかと思われた。それだけ貿易問題は深刻だ。
中国の反発は織り込まれていたが、それに加えて欧州も反対を唱えだしている。だが一部からはトランプ大統領はこの1年間でやってきたことと同じで、要求のトーンを下げてくるのではないかとの楽観的な見方が出てきた。
それで米国株はニューヨーク時間のランチタイム以降は買い戻しが優勢となった。ドル円も下げ止まった格好となっており、105.70あたりまで値を戻してきている。私も途中で105.55で買い戻してしまっており、またしても次の売り場を探している。
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